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ルネサスが16/14nm世代の自動運転向け半導体メモリーセル

処理速度4倍、2023年に内蔵マイコン実用化へ
ルネサスが16/14nm世代の自動運転向け半導体メモリーセル

フィン構造のフラッシュメモリーセル(CG=選択ゲート、MG=メモリーゲート、ルネサス提供)

 ルネサスエレクトロニクスは、現在の28ナノメートル世代(ナノは10億分の1)比で4倍以上の処理性能をもつ16ナノ/14ナノ世代の半導体メモリーセルを開発した。回路に組み込みやすいフィン構造の立体トランジスタを採用、性能が劣化しやすかった課題を改善して車載に適用可能な信頼性を確保した。自動運転を支える大容量メモリー内蔵のマイコンとして2023年ごろに実用化する。

 開発した技術を活用すれば、100メガバイト級(メガは100万)のメモリーを搭載する16ナノ/14ナノ世代のマイコンの実現につながる。米サンフランシスコで開かれている「国際電子デバイス会議(IEDM)」で発表する。

 シリコン上に窒化膜を酸化膜で挟んだ3層構造とゲートを載せ、さらにゲート電極を二つに分けた「スプリットゲート(SG)―チャージトラッピング(MONOS)」型のフラッシュメモリーセルを、世界で初めてフィン構造に作り込んだ。SG―MONOSは論理回路工程との親和性が高い。

 フィン構造において、従来のプレーナ構造の平面トランジスタと同等以上のメモリー動作性能を実証した。メモリーの大容量化につながるしきい値電圧のバラつきも抑えている。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
フィン構造の課題だった特性の劣化を、書き込み時にかける電圧を段階的に上げる「ステップパルス」方式を採用することで改善したという。これらの工夫により、従来と同程度の25万回の書き換え耐性を実証、車載用途に求められる高温下の10年以上のデータ保持特性も確認しているそうだ。

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