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薩摩版「ビジネス竹取物語」 バイオマスや先端材料で地方創生!

薩摩川内市で産学官の協議会発足へ。中越パルプ工業や樹脂、建設、塗料メーカーなど参画
薩摩版「ビジネス竹取物語」 バイオマスや先端材料で地方創生!

薩摩川内市の竹林(中越パルプ工業提供)

 鹿児島県薩摩川内市は、市内に存在する竹を高機能素材として有効活用するため、産学官連携組織「薩摩川内市 竹バイオマス産業都市協議会」を6月にも設立する。バイオマス燃料などに加え、セルロースナノファイバー(CNF)や電子材料などに応用。放置竹林の防止だけでなく、地域経済の活性化と雇用創出につなげたい考え。協議会には中越パルプ工業など市内に拠点を持つ企業や九州内の大学が参加する見通しで、経済産業省とも連携する。

 まず竹の新たな用途について事業化調査(FS)する。地元住民がボランティアで行っている竹の伐採や回収作業について、作業を効率化して標準化できないか検討する。これらの活動にあたり政府の交付金「地方創生先行型」に採択された。15年度の事業費は計3000万円。

 市内に製紙工場を持ち竹由来のCNFの製造技術を持つ中越パルプ工業や、地場の樹脂加工業、建材・塗料メーカーなどが設立当初から参加する見通し。

 CNFは鋼鉄の5分の1の軽さで5倍超の強度がある次世代素材。また竹から電子部品に帯電防止機能を与える塗布剤も製造でき、化粧品や健康食品に利用できる可能性もある。石油化学品の代替としてバイオマス資源である竹を利用すれば、二酸化炭素排出量の削減につながる。

 現在は中越パルプ工業が社会的責任(CSR)の一環として年間約2万トンの竹を収集し、竹紙やバイオマス燃料などに利用している。この現状に対して、竹の活用に経済性を持たせる状況にするのが協議会の究極の目標という。

 薩摩川内市は再生可能エネルギーの導入などエネルギーの多様化も推進している。その一環で市内に豊富に存在する竹に着目している。
日刊工業新聞2015年05月21日 列島ネット面
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
竹は成長スピードが速いので、竹林の整備や伐採した竹の処理に困っている地域は多いはず。この事業はモデルケースになる期待大です。

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