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ゴルフクラブ生産、チタンの研磨技術でリード

栃木のササキ、新工場が来春完成
ゴルフクラブ生産、チタンの研磨技術でリード

新本社工場の模型を前に、社員に語りかける佐々木政浩社長(左)

 「ガガッ、ドドドドド」―。栃木県鹿沼市の日光例幣使街道沿いに、男体山と黒川を望む絶景の場所がある。宇都宮市の中心部から車で40分程度、自然に恵まれるこの場所を、ダンプカーやショベルカーが行き交う。「ここからの眺めは最高だね。2階建てだから、働いていても気分が良いだろう」。こう語るのは、ゴルフクラブのOEM(相手先ブランド)生産を手がけるササキ社長の佐々木政浩だ。

3棟を建設、製造拠点の再編


 ササキは現在、本社工場の建屋3棟を取り壊し、新工場や倉庫など3棟を建設している。総投資額は10億円以上で、3棟合わせて延べ床面積は約5780平方メートル。2017年4月に完成し、ゴルフクラブの塗装、組み立て、物流機能を備える。

 これに伴い、77年に栃木県内に初めて築いた鹿沼市富岡の工場は老朽化のため3月に閉鎖し、設備や人員は別の工場に移転する。さらに地元で15人程度を新規雇用する計画だ。

 同社はこのほか、製造拠点の再編に乗り出しており、輸送コストの削減を狙い、7月に新潟工場を閉鎖した。中国製部品を調達するために開設した中国拠点も為替の変動や品質面から3月末までに撤退する方針だ。国内は鹿沼市内2工場、海外は台湾工場に集約し、生産効率を高める。

クラブ年産1.5倍


 新工場稼働後は16年2月期に比べて3割増となる年間9億円程度の売上高を見込む。またゴルフクラブの年間生産本数についても、現在の約100万本を、数年以内に1・5倍の150万本程度に引き上げることを目標に掲げる。

 ササキがゴルフクラブの生産を手がけたのは、テレビやアンプといった電気製品の部品研磨に携わっていた創業当時からチタンの研磨に秀でていたためだ。チタンの研磨は目詰まりしやすいことや、表面の傷がとれにくいなど、高い技術が要求される。

自家発電も装備


 ゴルフクラブのヘッド部分は、形状出しや重量調整面で高い研磨技術が求められ、それを手がけられるメーカーは全国に数社のみだ。国内での生産比率が高く顧客からの信頼も厚いササキは、品質面で他社をリードする。

 ササキは現在、本社工場と富岡の工場の2カ所に600ボルト規模の自家発電装置を備える。11年3月の東日本大震災発生時に、災害が起きた時の生産設備の稼働維持の必要性を感じ、震災から数カ月後に新たに設置したものだ。「帰宅困難な従業員の受け入れに加え、生産設備を守ることで顧客に“安心”を届けたい」と佐々木は力を込める。(敬称略)

▽所在地=栃木県鹿沼市御成橋町2の2215、0289・60・2233▽社長=佐々木政浩氏▽従業員=85人▽資本金=5000万円▽売上高=7億円(16年2月期)

連載「不撓不屈」は日刊工業新聞電子版にてお読みになれます
日刊工業新聞2016年12月6日
斉藤陽一
斉藤陽一 Saito Yoichi 編集局第一産業部 デスク
 日刊工業新聞には、毎週1社の中堅・中小企業を取り上げる「不撓不屈」という連載コーナーがあります(中小企業・地域経済面に掲載)。今回のササキさんの記事も、同コーナーから引用したものです。正直、私はササキさんのことをあまり知らなかったのですが、文中にチタンの話が出てくるので、おそらくゴルフクラブの中でも、ドライバーを中心としたウッドのOEM生産を手がけているんだろうと推察されます。ちなみに私がゴルフを始めたのは、ちょうどドライバーがメタル(ステンレス)ヘッドからチタンヘッドに切り替わる時期。最初に使ったドライバーは安価なメタルヘッドのものでした。今やチタンヘッド全盛です。ササキさんも、チタン化の風潮を上手くとらえて事業を成長軌道に乗せたということなのか、その辺は今後の連載で明らかになることでしょう。

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