創業100年以上の老舗企業、日本に何社ある?
業歴1000年以上は7社
東京商工リサーチがまとめた全国「老舗企業」調査によると、2017年に創業100年以上となる国内企業は3万3069社に達することが分かった。12年の前回調査に比べ5628社増えた。業歴1000年以上は7社あった。
宗教法人を除き最も創業が古かったのは、社寺建築の金剛組で578年創業。飛鳥時代の四天王寺(大阪市天王寺区)建立にも立ち会った。現在は06年設立の新会社が旧金剛組から事業を継承している。
次いで、華道「池坊」の池坊華道会、武田信玄や徳川家康も訪れたとされる西山温泉慶雲館が続いた。
一方、創業100年以上となる上場企業は564社と、上場企業全体の15・4%を占める。上場企業で最も古いのは中堅ゼネコンの松井建設。1586年創業で、江戸時代末期まで前田藩に仕え、関東大震災を機に東京へ進出。本願寺築地別院復興工事などを手がけた。以下、1590年創業の住友金属鉱山、1598年創業の綿半ホールディングス、1602年創業の養命酒製造が続く。
創業1400年以上、世界最古の会社とされる金剛組(大阪市天王寺区)。社寺建築専業最大手として事業展開している。少子高齢化や檀家(だんか)の減少などで寺社そのものが減る傾向にあり事業環境は厳しい。こうした中でどのような経営を行おうとしているのか。金剛組の刀根健一社長に話を聞いた。
―社寺建築にはどんな特徴がありますか。
「建設業でありながら、建設業とはいえない要素がある。現場には檀家がどんどん見に来るので、現場監督が工事状況をおもてなしの心で説明する。工期が伸びても『丁寧な仕事をしている』とありがたがられる。技術は昔から全然変わっておらず、古い建築物を見ることが勉強になる」
―社寺が減っていると聞きます。
「国全体で考えれば、お寺と神社はそれぞれ全国のコンビニ店舗より数が多い。仕事を開拓するため東北と沖縄を除いて営業拠点を設けている。営業といっても、基本はお客さまを訪問して人間関係をつくって仕事をいただくことになる。社寺の数が減少傾向にあるので、売上高は現状維持でいいところだ」
―関東支店を開設したそうですね。
「昨年、埼玉・鶴ケ島に関東支店を開設し、北関東地域の営業を強化した。東京本店は、東京(豊島区・江戸川区など)と神奈川の両地域を中心に営業している」
―宮大工と特別な結びつきがあります。
「金剛組の仕事は8組の110―120人の宮大工が手がけている。6組が大阪で2組が東京での仕事を担当する。彼らと契約書を交わしている訳ではないが、金剛組の仕事に誇りを持ってやってもらっている。宮大工なくして、金剛組はない」
―技術伝承が重要ですね。
「最近は若い人が仕事をしたいと言って来てくれる。もちろん向き不向きがあるのでそれを見極めていく。300年先を見据えた仕事をしており、技術力が不可欠だ。本物志向で取り組んでいく」
【記者の目/地道な営業でシェアアップ】
一時期は経営危機に陥った金剛組だが、現在は高松コンストラクショングループの一員として社寺建築に注力する。世界最古の企業として知られるが、それを裏打ちする技術力があればこそだ。事業環境が厳しい中で、地道な営業活動でシェアアップを目指す。さらにモノづくりの灯をともし続けてほしい。(村山茂樹)
宗教法人を除き最も創業が古かったのは、社寺建築の金剛組で578年創業。飛鳥時代の四天王寺(大阪市天王寺区)建立にも立ち会った。現在は06年設立の新会社が旧金剛組から事業を継承している。
次いで、華道「池坊」の池坊華道会、武田信玄や徳川家康も訪れたとされる西山温泉慶雲館が続いた。
一方、創業100年以上となる上場企業は564社と、上場企業全体の15・4%を占める。上場企業で最も古いのは中堅ゼネコンの松井建設。1586年創業で、江戸時代末期まで前田藩に仕え、関東大震災を機に東京へ進出。本願寺築地別院復興工事などを手がけた。以下、1590年創業の住友金属鉱山、1598年創業の綿半ホールディングス、1602年創業の養命酒製造が続く。
日刊工業新聞2016年12月5日
金剛組社長・刀根健一氏インタビュー「創業1400年、若者に技術伝承」
創業1400年以上、世界最古の会社とされる金剛組(大阪市天王寺区)。社寺建築専業最大手として事業展開している。少子高齢化や檀家(だんか)の減少などで寺社そのものが減る傾向にあり事業環境は厳しい。こうした中でどのような経営を行おうとしているのか。金剛組の刀根健一社長に話を聞いた。
―社寺建築にはどんな特徴がありますか。
「建設業でありながら、建設業とはいえない要素がある。現場には檀家がどんどん見に来るので、現場監督が工事状況をおもてなしの心で説明する。工期が伸びても『丁寧な仕事をしている』とありがたがられる。技術は昔から全然変わっておらず、古い建築物を見ることが勉強になる」
―社寺が減っていると聞きます。
「国全体で考えれば、お寺と神社はそれぞれ全国のコンビニ店舗より数が多い。仕事を開拓するため東北と沖縄を除いて営業拠点を設けている。営業といっても、基本はお客さまを訪問して人間関係をつくって仕事をいただくことになる。社寺の数が減少傾向にあるので、売上高は現状維持でいいところだ」
―関東支店を開設したそうですね。
「昨年、埼玉・鶴ケ島に関東支店を開設し、北関東地域の営業を強化した。東京本店は、東京(豊島区・江戸川区など)と神奈川の両地域を中心に営業している」
―宮大工と特別な結びつきがあります。
「金剛組の仕事は8組の110―120人の宮大工が手がけている。6組が大阪で2組が東京での仕事を担当する。彼らと契約書を交わしている訳ではないが、金剛組の仕事に誇りを持ってやってもらっている。宮大工なくして、金剛組はない」
―技術伝承が重要ですね。
「最近は若い人が仕事をしたいと言って来てくれる。もちろん向き不向きがあるのでそれを見極めていく。300年先を見据えた仕事をしており、技術力が不可欠だ。本物志向で取り組んでいく」
【記者の目/地道な営業でシェアアップ】
一時期は経営危機に陥った金剛組だが、現在は高松コンストラクショングループの一員として社寺建築に注力する。世界最古の企業として知られるが、それを裏打ちする技術力があればこそだ。事業環境が厳しい中で、地道な営業活動でシェアアップを目指す。さらにモノづくりの灯をともし続けてほしい。(村山茂樹)
日刊工業新聞2015年10月1日