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異種金属をつなぎ合わせる特殊ワイヤの凄さ

キャステムがチタンとアルミを溶接する技術開発
 キャステム(富山市、大上仁士社長)は、これまで難しいとされていたチタンとアルミニウム、チタンとステンレス、アルミと鉄など異種金属同士の溶接技術を開発した。高精度YAGレーザー溶接装置と独自開発の特殊金属ワイヤを用いる。今後、テスト加工を通じて、需要が多い金属材料の組み合わせや用途などを探り、量産技術を確立する。

 金属ワイヤの成分を工夫し、同一のワイヤで複数の組み合わせの金属接合に成功した。公的試験機関で引っ張り試験や曲げ強度、断面の走査型電子顕微鏡写真観察など各種試験を実施して強度を確認した。

 アルミとステンレスの重ね継ぎ手の引っ張り・せん断試験では、1平方ミリメートル当たり約150メガパスカル(メガは100万)を達成。今後、鉄やアルミ単体と同等の同300メガ―400メガパスカルを目指す。

 従来、異種金属の接合は、溶接時に溶け合った異種金属間に硬くてもろい加工物が生成してしまうため、難しかった。多様な異種金属の溶接ができれば、部品の設計自由度やデザイン性が向上し、軽量化やコスト削減が見込める。
日刊工業新聞2016年12月2日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
金属ごとに融点や剛性などが違うため、異なる金属を溶接することは困難でした。今回の溶接技術が突破口となり、「日本発」の新たな部材が生まれる可能性もあります。

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