「薬価制度の抜本改革」議論の焦点

「革新性」「社会保障維持」どう両立!?

 中央社会保険医療協議会(中医協、厚生労働相の諮問機関)は30日、薬価専門部会を開き、薬剤の新たな価格引き下げルールの策定に向けた議論を始めた。販売額が急激に伸びた際に、2年に1度の薬価改定にとらわれずに引き下げる制度の創設などを協議。政府が年内に策定する基本方針に基づき、具体策の検討を今後、本格化させることを確認した。

 薬価制度をめぐり、厚労省は患者1人当たり年3500万円かかるとされる抗がん剤「オプジーボ」の価格を来年2月に半額に引き下げることを特例的に決定。今後も高額薬の登場が相次ぐことが予想される中、膨張する医療費を抑制するため、安倍晋三首相が11月25日の経済財政諮問会議で制度の抜本見直しを指示していた。

 この日の部会では、厚労省が薬剤の販売額が効能追加などで急増した場合、年に4回行っている新薬の価格決定の機会を活用して価格を引き下げる新方式などを提案。諮問会議の民間議員が指摘した毎年改定の是非や、薬価算定の透明性を高めるためのデータ開示の在り方も論点として示した。

 委員からは「制度の抜本改革は必要だ」と理解を示す声があった一方、毎年改定については「企業の弱体化につながり、到底容認できない」「薬の安定供給に影響を及ぼす」といった慎重意見も出された。

 製薬業界はオプジーボの値下げに対して「安易な引き下げは開発意欲をそぐ」と批判しており、毎年改定にも反発が高まるのは必至だ。

日刊工業新聞2016年12月1日

村上 毅

村上 毅
12月04日
この記事のファシリテーター

11月25日に開かれた「経済財政諮問会議」。安倍首相が「薬価制度の抜本的改革」を指示し、基本方針のとりまとめを「年内」と期限を切った。中医協の委員は「唐突感がある」と猛反発し、「薬価を中医協でなく、政府が決めるということなのか」といった声もでた。ただ、高額薬をどうするか、薬価制度をどうしていくかというのは国民的な課題だ。半ば“主導権争い”のような形になって「国民の視点」が抜け落ちるといったことがないよう、十分な議論が尽くされることを望みたい。

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