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カメラの死角があっても大丈夫! 視点が自在のリプレー画像システムをサッカーに導入

KDDI総研が実用化にめど
 KDDI総合研究所(埼玉県ふじみ野市、中島康之所長、049・278・7441)は、スポーツ中継のリプレー映像などの視点を自由に変えられる技術を2017年内にも実用化する。カメラが設置できない角度からの映像などを配信できるようにする。20年をめどに、消費者が家庭で自由に視点を変えながらリプレー映像を楽しめる体制の構築も目指す。

 KDDIは運動通信社(東京都渋谷区)と協業してサッカー日本代表の試合のハイライト映像を配信しており、この動画に新技術を採用するなど多様な展開を見込む。

 実用化するのは「8K4Kハイブリッドフリーナビゲーションシステム」。このシステムを使い、Jリーグの得点場面の映像を試作した。高解像度の4Kカメラ2台と8Kカメラ1台で撮影した試合の映像を基に、KDDI総合研究所の技術で3次元の映像を作成。これにより視点を自由に変えながら視聴できる映像を実現した。

 新システムはスポーツ中継などでの利用を想定する。11月にはKDDIは運動通信社と共同で、スポーツインターネットメディア「SPORTS BULL」でサッカー日本代表のハイライト映像などの配信を始めており、新システムは同サイトのコンテンツ作成などでの利用を見込む。カメラで撮影していない角度を含めてハイライト映像などを配信できるようにする。

 一方、実用化に向けては映像制作にかかる時間の短縮が課題になっている。現状は10秒間の映像を作るのに20―30分かかる。複数の選手が集まった箇所を自動で3次元の映像にする場合、システムが選手を区別しきれずに映像が乱れてしまう。このため人手による修正が必要となり、時間を要している。そこでディープラーニング(深層学習)による画像認識技術などを導入し、自動化の精度を高める。これにより作成時間を10分程度まで短縮する。
日刊工業新聞2016年12月2日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
さまざまな角度からプレイヤーやボールの動きを捉えることができれば、臨場感が増すでしょう。2020年にはどんな技術が実用化されるのか楽しみです。

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