トラック運転手の疲労を軽減するカギはサスペンションにあった!

ニッパツがいすゞと共同開発したシート。安価で薄く軽く

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安価で薄く軽いサスペンションシートの開発に取り組んだ
 ニッパツの「自動車用薄型サスペンションシート」は、振動を吸収するシート。2トンクラスの小型トラックに乗るドライバーの疲労軽減と疲れに起因する事故の防止、乗り心地の向上を目指し、いすゞ自動車と共同開発した。配送などで街中を走り回る小型トラックのドライバーの環境を改善し、安全で事故のない物流を支えている。

 同サスペンションシートは、ニッパツがバネで培った振動技術と、シート製造のノウハウを投入。「ニッパツの技術を集めた」(伏木田基弘シート生産本部第二設計部長)。

 ニッパツは10年以上、サスペンション機構付きのシートを手がけている。従来品は、乗員の姿勢を保ちつつ、振動を吸収するウレタン製のクッションパッドと、パッド下の磁気サスペンション機構で構成。

 同機構はオイルダンパーやバネなどを用いる複雑な構造のため、大きくて重いし、費用も高い。小型トラックは安価で使えるため、世界的にもユーザーが多い。「物を多く積め、ドライバーにもやさしい小型トラックにするため、安価で薄く軽いシートへのニーズが寄せられ、開発に着手した」(同)。
 
 場所が必要な従来の機構は使えず、ゼロからのスタートだった。そこで、クッションに用いるウレタンを内製化している技術に着目。ウレタンパッドで機能を代替させることを考えた。パッドに振動を吸収させるには、適度な空気抵抗を持つ構造のウレタンが必要。「最適な発泡条件や分子結合の割り出し、各部門と連携しての量産化への道筋付けに長くかかった」(上原慎二第二設計部主任)。

 体を支える薄型形状パッドが、乗員の姿勢を保持。同パッドの下の厚型サポートパッドが上下から押しつぶされ、振動を吸収する。従来はシート全体で姿勢保持と振動低減をしていたが「機能をパッドごとに分けたことで、各部が最高品質を追求できた」(同)。

 コストは従来比約4割、重さは同1割以上減った。乗員の尻の位置も40ミリメートル低くでき、小型車でも載せられる製品になった。現在は欧米市場など向けの小型トラックに搭載。今後は日本国内での搭載も目指す。軽トラック向けの開発も進め、ドライバーの環境改善にますます貢献する。
(文=山田諒)

日刊工業新聞2016年12月1日

COMMENT

明豊
執行役員デジタルメディア局長 DX担当

初任地が横浜支局だったこともありニッパツ(日本発条)はとても思い出深い企業。たかがバネ、されどバネ。バネの技術は奥が深い。

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