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低酸素トレーニングの効果をマウスで実証! 遺伝子改変と運動で持久力アップ

東北大大学院の永富良一教授らが成果を発表
 東北大学大学院医工学研究科の永富良一教授らは、高地などの酸素の少ない環境で運動の練習をする「低酸素トレーニング」の効果をマウスで実証した。低酸素時に血管を新しく作るなどして組織への酸素供給を維持する「低酸素応答」に着目。この応答が常に起きるように遺伝子を改変したマウスに運動訓練をさせたところ、通常のマウスよりも持久力が向上した。

 酸素の少ない環境で練習すると、低酸素応答により酸素の運搬能力が高まり、持久力が上がると考えられている。ただ、ヒトの研究では、「高地練習したから持久力が上がる」と思い込むことで記録が伸びる心理的影響を排除できず、練習効果の評価が難しかった。

 研究チームは、低酸素応答を制御するたんぱく質「PHD2」に注目。PHD2を作れないように遺伝子を改変し、低酸素応答が常に起きるようにしたマウスを使い、ランニングマシンによる持久力訓練を4週間行った。

 訓練前は走り続けられる時間が80分程度だったのに対し、訓練後は約40分伸びた。遺伝子改変しない通常マウスは、訓練後の走行持続時間の伸びが約25分にとどまった。

 成果は欧州生理学会の機関誌アクタ・フィジオロジカに掲載された。
日刊工業新聞2016年12月2日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
あくまでマウスによる実証なので、ヒトに当てはまるかどうかは未知ですが、科学的に低酸素トレーニングの有効性を確認することは必要だと思います。将来、技術的には遺伝子を改変した"サイボーグアスリート”をつくることも可能になりそうで、少し怖い気がします。

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