大きな反響があった複数のロボットを統合制御するコントローラー

ヤマハ発がいよいよ発売。責任者の村松氏にその狙いを聞く

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 ヤマハ発動機は、1台のコントローラーで複数のロボットや周辺機器を制御する新統合制御システムを12月1日から展開する。自動化生産ラインの短期構築や低コスト化につながる。1台のロボットに1台のコントローラーという従来概念を覆す提案で、業界へのインパクトは大きい。村松啓且IM事業部ロボットビジネス部長に狙いや将来性について聞いた。

 ―統合制御システム「アドバンスト・ロボティクス・オートメーション・プラットフォーム」の開発背景は。
 「自動化ニーズによるロボットブームで世界市場は伸長している。ロボットメーカーは増産で対応しているが、ユーザーはロボットだけ買えば自動化できるわけではない。システムインテグレーター(SI)が不足する中、手間と時間がかかる配線やプログラミングをいかに短縮させるかを考えた」

 ―システムの概要を教えてください。
 「中核はパワーユニットやドライバユニットで構成する統合コントローラ『YHX』シリーズ。同時にリニアモーターモジュールや各種ロボットを刷新し、ロボットカメラも開発した。当社のロボットはスマートフォンや自動車、家電向けの小型部品の組み立てが主力。おそらく世界一と言えるロボットのバリエーションが強みで、ライン全体をロボットシステム化できる」

 ―統合制御によるメリットは。
 「ロボットメーカーは性能向上やコスト低減にしのぎを削るが、実は配線にかかる手間やコスト、スペースは意外に大きい。新システムは業界初のスタッキング構造によりユニット間の配線をなくした。制御盤内の占有面積を従来の半分以下に削減しながら、インテリジェントで先進的な自動化生産ラインを構築できる。IoT(モノのインターネット)との親和性も飛躍的に高めた」

 ―開発での苦労や難しかった点は。
 「電圧の異なる動力系の200V電源と24Vの制御系電源、高速通信ライン、安全回路など個々のモジュールの品質を確保しながら配線レスで安全、確実にドッキングする新たな技術開発が必要だった。そのために、特殊な専用コネクターも新規開発した」

 ―中長期的な目標を。
 「第1弾として202品目に対応。今後はユーザーの独自開発ユニットにも対応し、利便性を高めていきたい。ロボット事業で20年に16年見込み比2倍の売上高200億円、営業利益率20%以上を目指す。17年初めには浜松市北区の新工場も稼働する。生産増強だけでなく、デモルームも設置し開発力、提案力を高めていきたい」
     


【記者の目・制御技術と柔軟な発想融合】
 10月の発表以降、幅広い業界から大きな反響があったという。先行して同システムを試験導入した大手メーカーからも高い評価を得ている。業界常識を打ち破る統合制御技術の開発は、高度な制御技術と多彩なロボットラインアップ、柔軟な発想の融合から生まれた。同社のロボット事業の大きな転換期であり、ロボット業界の勢力図にも影響を及ぼしそうだ。
(聞き手=田中弥生)

日刊工業新聞2016年11月30日

COMMENT

石橋弘彰
相模支局
支局長

産業用ロボットのコントローラーは変革期を迎えている。これまではロボットメーカー各社がコントローラーを内製し、1台に一つのロボットコントローラーを提供してきた。だが複数のロボットを統合制御できる方が効率が良く、ユーザーは統合制御を求めている。その点ではヤマハ発の新システムは先を行くものだ。 ただ、工場の生産ラインは異なるメーカーのロボットを使うケースが増えており、各社のロボットを統合制御できるシステムこそが本命だ。ヤマハ発のシステムは異なるメーカーのロボットでも対応できるようだが、相性などの問題もあり、どこまで制御の質を高められるか気になる。

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