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インスタ連携で急成長のベンチャー、SnSnapにPEファンドが投資

写真プリントサービスで高い技術力。あえてVCからの調達選ばず
インスタ連携で急成長のベンチャー、SnSnapにPEファンドが投資

プリントアウトされたカードをイベント来場者に配布(ジバンシィのイベント)

 ニューホライズンキャピタル(NHC、東京都港区、安東泰志会長兼社長)は、「インスタグラム」などソーシャルメディアを活用した写真プリントサービスで急成長しているSnSnap(東京都渋谷区)の全株式を取得する。設立後間もない企業は、ベンチャーファンドなどから資金調達するケースが多い。独立系プライベート・エクイティ(PE)ファンドのNHCから実践的で制約の少ない経営支援と資金を受け入れ、サービスの開発速度を上げる。

 SnSnapは1年半前に設立。インターネット販売などから実店舗に顧客を誘導するオンライン・ツー・オフライン(OツーO)のマーケティング事業を展開している。ソーシャル上でシェアした写真をイベント会場などに設置した専用端末から印刷できるサービスで、主にプロモーションやイベントで利用されている。

 最大の強みは、大手IT会社や電機メーカー出身の優秀な経営チームと技術開発力。インスタグラムのアプリ連携仕様(API)は大手企業でも認可を得ることが難しいが、同社はいち早く取得し、すでに350件以上のサービス導入実績がある。

 現在はプリンターを自社で購入し、イベントごとに貸し出すモデルを展開。東京ドーム(東京都文京区)など一部の大型施設などで印刷機を常設中で、年間の売上高は1億円を超えている。NHCからの資金調達により、人材採用やサービスの拡充に当てる。今後は「写真シール機」などの置き換え需要も狙う。

 NHCはSnSnapの増資を引き受け、取締役3人を派遣。成長段階にある企業の価値を高め、1年後には年3億円の売り上げを目指す。投資額は非公表。
日刊工業新聞2016年12月1日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
ニュースイッチのファシリテーターをしている安東さんのNHCが投資します。SnSnapのマネジメントチームはCEOの西垣雄太氏を中心にCTOと営業担当の3人。西垣氏はアップルなどで勤務経験があり、インスタのAPIでも直接、シリコンバレーの本社に乗り込んで事業トップに直談判したほど実行力がある。しかもそれにしっかり技術開発力が付いてきているのが強み。中途半端にVCから資金調達し、事業や出口の制約を受けるよりもNHCのハンズオンが良いと判断したのだろう。すでに利益も出ているようだ。NHCは再生案件への投資がほとんどだが、事業の将来性とマネジメントチームが優秀であれば成長企業にも投資していくのだろう。上場ゴールでもがくベンチャーが多い中で、新しいファイナンスの形として注目したい。

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