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女子大生インターン記者が行く。証券取引所や電機、工作機械メーカーに体当たり

ソニー、菊水電子工業、国際工作機械見本市で体験取材
 日刊工業新聞社は10月、大学3年生のインターンシップ3名を受け入れ、日本国際工作機械見本市(JIMTOF2016)などを同行取材した。初めての体験に四苦八苦するも、学生ならではの鋭い質問もあった。未来のスクープ記者、奮闘の成果をお届けします。

ソニーの研究所 協生農法を研究



 ソニーコンピュータサイエンス研究所の舩橋真俊さんは、多種類の有用植物を混生し密集栽培することで耕うんや肥料、農薬が不要となる「協生農法」の研究を進めている。従来の農法と比べて生物多様性を確保するほか、生産性も向上する。これが普及すれば食糧危機も解決するという。
 新興国では農業が環境破壊を引き起こしている場合が多い。例えばインドでは、生産力の高い品種の稲を植えることで、食糧危機を脱却しようとした。しかし、それによってほかの雑穀の生産量が減ってしまい、単一の穀物しか食べず、逆に栄養失調を引き起こしているという。
 従来の農法は、畑に単一の植物を栽培するので生物多様性確保には程遠い。さらに肥料が地下水を汚染し、雑草を駆除する労働コストがかかってしまう。一方で協生農法を使うと、生態系が持つ力でより生物が住みやすくなるように調節されるので、肥料が必要なくなる。

協生農法を取り入れた農園

 協生農法を導入している三重県の伊勢協生農園では1反の中に250種類ほどの植物を栽培している。導入後、慣行農法と比較して売上げは2倍となった。
 アフリカの砂漠化が進んだ地域でも、協生農法を導入できる。水やりを極力少なくできるのは、植物を密生させることで日陰が作られ、蒸発が防がれるためだ。ブルキナファソでは食料も働き口も少なく、貧困が原因となり盗賊も出没する。協生農法は雇用の創出にもつながっている。
舩橋さんは「食べ物があるところでは紛争は起こりにくい。少しでも人類の平和に寄与できれば」と語る。特に人口が増えるとされているアジアとアフリカで協生農法を普及させていきたいと考えている。(肥田野美琴)

トランプ氏当選、日本株に好影響?



 東京株式市場では、トランプ次期米大統領の当選が株価に好影響を与えているようだ。トランプ氏不利という大方の予想とは裏腹に、当選後、次期大統領が国内成長促進、インフラ投資、金融規制緩和を掲げたことで人々に安心感を与えているのが理由に挙げられる。10月9日の15時過ぎ、インターンシップ初日に日刊工業新聞社本社で米大統領選挙の結果を知った。対立候補だったクリントン氏が優勢と考えていたために、トランプ氏の当選は予想していなかった。
その後、インターンシップの体験取材として同15日に東京証券取引所を訪れた。この日の東京株式市場は日経平均株価が前日比4円47銭安の1万7668円15銭、東証株式指数(TOPIX)は同2・98ポイント高の1402・98だった。

トランプ公式サイトより

 大統領選翌日の株式市場は”トランプショック”に見舞われたが、その後は落ち着き、株価は持ち直している。 東京株式市場の反応についてSMBC日興証券の太田千尋投資情報部部長は「アメリカ国債の利回りが良くなったことで円安ドル高となった」と説明した。また、「トランプ氏の勝利宣言が非常に穏やかな雰囲気で行われ、スムーズな政権移行が行われそうだと市場は素直に受け止めている」と話した。
 ”トランプ効果”による円安ドル高はいつまで続くのだろうか。年末年始の動きが気になる。(湯井菜々子)

菊水電子工業、会員制サイトで属性分析し提案営業



 菊水電子工業は2017年上期をめどに、電気機器向け試験・計測システムの販路拡大を狙いに、新しいマーケティング手法を取り入れる。年月に開設した電子計測器や電源装置などを組み合わせたソリューション製品の専用サイト「KIKUSUI mag(キクスイマグ)」を活用する。同サイトの登録会員の属性を分析し、営業に役立てる。3年後にソリューション製品の年間売上高を現状比で倍増に伸ばす。
 現在、キクスイマグは無登録でコンテンツを閲覧できるが、17年1月16日から会員登録が必要となる。会員制への移行を機に、マーケティングオートメーション(MA)により登録会員の属性を分析する。その結果を基に提案営業に役立てる。

菊水電子工業

 同サイトでは会員登録を増やすためエンジニアの体験談などを紹介するコラムを週1回更新で掲載する。会員登録のターゲット層と同じ若手・中堅エンジニアにコラムなどの執筆を依頼し、会員の共感を得ることで〝KIKUSUIファン〟を増やしたい考えだ。
ソリューションの提案、開発、保守まで幅広く対応できる点も紹介する。茂戸藤寛営業推進部次長は「一貫したフォローで安心して任せられる会社をアピールしたい」と話す。(上浦笑菜)
日刊工業新聞11月30日付[特別企画]面を再構成
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
インターン生たちは、主にスマホでヤフーやLINEのニュースを読んでいるとのこと。スマートニュースの利用者が一人でした。媒体社が学生にアプリなどをダウンロードしてもらうのは、至難の業だと思いました。

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