2度目の「大阪万博」へ経済効果の皮算用。ライバルはパリ 

立候補へ向けカウントダウン、オールジャパンで臨む

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1970年の大阪万博のシンボル、太陽の塔の内部
 2025年の国際博覧会(万博)の開催地にフランス・パリが立候補したことで、大阪開催を目指す日本にとって、時計の針が動きだす。立候補が可能な期間は、最初の候補地が手を挙げてから半年以内と定められているからだ。政府は12月に発足する検討会議で、大阪府がまとめた基本構想を検証し、遅くても17年の5月までに閣議了解を経て、博覧会国際事務局(BIE)に登録申請する。

 大阪府が10月末にまとめた基本構想案は、「人類の健康・長寿への挑戦」がテーマ。臨海部の人工島「夢洲(ゆめしま)」に約100ヘクタールの会場を整備し、来場者3000万人以上、6兆円超の経済効果を見込む。まずはこの構想のテーマや収支計画の実現可能性を精査し、国としての計画をまとめることが登録申請に向けた第一歩となる。

 2度目の万博開催が、長らく地盤沈下が続く関西経済を活性化する起爆剤になると考える大阪府の松井一郎知事。これに対し、安倍晋三首相が9月末の衆院本会議での代表質問で「しっかり検討する」と意欲を示したことで、当初は誘致に及び腰だった関西経済界も協力姿勢に転じた。

 ただ、カジノを含む統合型リゾート(IR)を整備する跡地利用をめぐっては、地元経済界は必ずしも一枚岩ではない。財源も大きな課題だ。

 府の試算によると万博の事業費は会場建設費と運営費だけでも2000億円超。府と大阪市の厳しい財政事情を考えれば、経済界が応分の負担を求められるのは必至だ。

 過去の万博では経済界など民間は三分の一の負担を求められたが、関西経済連合会の森詳介会長(関西電力相談役)は「関西だけでは難しい」と明言。「経団連を中心にオールジャパンで支えていく態勢を考える必要がある」(同)と費用負担で協力を要請する構えだ。

 経団連の榊原定征会長は6月に関西を訪問した際、万博について「関西経済の活性化につながる意義ある行事」と前向きな姿勢を示したものの、財界挙げての支援については、これまでのところ明言していない。12月の政府の検討会議には経団連からも関係者が出席することから、早晩、旗幟(きし)を鮮明にすることを迫られる。
(文=神崎明子)

日刊工業新聞2016年11月25日

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神崎明子
デジタルメディア局
編集委員

1970年の大阪万博について尋ねると、たいていの人は月の石や大変な人混みなど当時の思い出を嬉々として語ってくれます。あの頃はよかったというある種のノスタルジーもあるのでしょう。それから半世紀。経済社会が様変わりする中、これほど強烈な記憶を残すビッグイベントになるか。

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