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今年の「漢字」、果たして清水寺で揮毫されるのは?

昨年は『安』が選ばれる
 色づいた木の葉がセピアに変わり、木枯らしに散らされて路上を舞う。そうして積もった枯れ葉を、みぞれが音もなく濡(ぬ)らす。晩秋を押しのけて冬が先触れのように顔を出す。東京都心は24日、54年ぶりに11月の降雪を記録した。

 間もなく本格的な冬。過ぎし1年を回顧する季節となる。日本漢字能力検定協会による恒例の「今年の漢字」もそのひとつ。昨年は『安』が選ばれて、安心か不安かが話題になった。

 今年の大ニュースは、内政では4月の熊本地震や8月の天皇陛下の「お気持ち」、初の女性都知事誕生と五輪会場見直し。外交では6月の英国による欧州連合離脱決定と、11月の米大統領選の“トランプ・ショック”。どれも『揺(ゆ)』らぎばかりで安定には遠い。

 産業界ではシャープが台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の、三菱自動車日産自動車の傘下に入った。ソフトバンクによる英ARMの超大型買収も。大企業が次々と他に飲み込まれる姿をノーベル生理学医学賞の大隅良典先生のオートファジー(自食作用)にひっかけて『食』はどうか。

 脱デフレや世界経済の先行き不『透』明が、いまの日本を最も象徴しているようにも思える。さて12月12日、京都・清水寺で何の字が揮毫(きごう)されるか。
日刊工業新聞2016年11月25日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
個人的には「乱」か。欧州では英国のEU離脱という「混乱」、米大統領選もトランプ勝利という「波乱」、日本でも「百合子の乱」、男女関係も乱れに乱れる文春砲が放たれた。「乱世」にならないことを祈りたい。みなさんもぜひ考えてみては。

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