ヤマハ発が“断念バイカー”掘り起こしへ。訴求車種に3輪「トリシティ」

「また乗りたい」へ不安や不満解消

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11月中旬に開いた“断念バイカー”救済イベントでは、ベテランライダーの俳優・細川茂樹さん(中央)と、断念バイカーのメイプル超合金の2人が盛り上げた
 ヤマハ発動機が新たな顧客属性の開拓に力を入れている。バイクに憧れを持つが安全面に懸念を持って免許取得を渋る人や、免許を取得したものの経済的な理由でバイクに乗らなくなった人を、同社は“断念バイカー”と定義づけた。こうした層に向け、2014年に投入した排気量125ccの3輪バイクを強く訴求する。他社も同排気量のバイクをそろえている。需要の新たな喚起につながるか注目される。

 ヤマハ発動機は9月上旬、インターネットを使って、2輪免許の所持にかかわらず、全国の20―69歳の男女1040人を対象に調査を実施。その結果、免許保有者(520人)の6割以上が「バイクを所有していない」と判明した。だが、バイク免許不所持か、免許取得後現在乗っていない人(873人)のうち、「乗りたい」と回答した人が5割弱いると判明。過去バイクを持っていた人の70・9%が「また乗りたい」と考えていることが分かった。

 免許非保有者が免許を取らない理由の上位は「事故が怖い」「購入費が高い」「維持費が高い」というもの。一方、保有者がバイクに乗らない理由も「購入費や維持費の高さ」が上位に上がった。11月中旬に開いたイベントでは、断念バイカーが集まり、3輪バイク「トリシティ」を試乗した

 そこで同社は3輪バイク「トリシティ」を断念バイカーへの訴求車種へと設定した。排気量125ccのため、車検は不要で、普通免許があれば短期間で小型限定2輪免許が取れるためだ。さらに、前に車輪が二つ並列で並ぶため「運転の安定感が高い上、転倒リスクも減らした。維持費も1日当たり約200円。家で缶ビールを1本我慢すれば乗れる」(同社)としている。

 他社も同125ccまでの車種のラインアップを増やしている。ホンダは15年125ccスクーター「リード125」の一部仕様を変更したほか、16年に新色を追加し同排気量のスポーツモデル「グロム」の外観を一新。スズキも15年、110ccスクーター「アドレス110」を発売している。

 日本自動車工業会が調査した過去5年間の国内の2輪車販売台数によると、50cc以下は6万台以上減少したのに対し、125ccを含む原付第二種は9万―10万台で推移している。それだけに、小型限定免許取得の簡便化や駐車場の整備などを業界全体で呼びかけ、2輪需要を少しでも回復しようとしている。
(文=山田諒)

日刊工業新聞2016年11月23日

COMMENT

ヤマハ発動機は、1980年代に激しいな販売競争、いわゆる「HY戦争」を繰り広げたホンダと国内における原付一種(排気量50cc以下)の事業で提携の検討を開始しました。背景には減り続ける2輪車の販売台数に対する危機感があり、それを脱却したいという思いがあります。今回の「断念バイカー救済」も、需要喚起の新たな切り札。国やメーカーが集って2輪車産業の将来を考えるフォーラムも展開しています。「断念バイカー」の取り組みが業界全体に波及して、二輪免許をすでに持っている人、そして持ちたいと思っている人を振り向かせることができるのか、注目されます。ちなみに、救済イベントに参加した私も、バイクに憧れながら免許を持っていない断念バイカー。トリシティには「乗ってみたいな」と感じました。 (日刊工業新聞第一産業部・山田諒)

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