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競合ひしめく中、東芝の製造業IoTビジネスは「現場力」で勝負

半導体の生産改善など自社ノウハウ生かす。設置からデータ分析まで一括で
 東芝は製造業向けIoT(モノのインターネット)サービスで一括提案を始める。装置へのセンサー設置といった生産現場の作業から、データ分析のクラウド構築まで対応。生産効率化や製品の設計改善を支援する。自動車や電機、機械業界にアピールし、2020年度に1000億円規模の売上高を目指す。日立製作所もIoTを活用した生産改善サービスを17年度から本格展開する計画。電機業界でIoTビジネスが本格化してきた。

 東芝が展開する製造業向けIoTサービスは「次世代ものづくりソリューション マイスターシリーズ」。データの収集・蓄積から、生産効率化などにつながるデータ分析・活用まで一連のソフトウエアを用意した。

 自社でITサービスとモノづくりの両方を手がける強みを生かし、現場に即した高度なデータ分析を実現する。

 17年初めには「スマートコミュニティセンター」(川崎市幸区)にデモ(実習)設備「IoT検証センター」を新設する。実際の装置をネット接続し、即時に異常を検知する機能などを実演する。

 東芝は自社の半導体工場などでIoTを活用した生産改善をしてきた。一定の成果を上げられたほか、15年頃から製造業全体でIoTへの関心が高まっており、マイスターシリーズを本格展開する。
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記者ファシリテーターの見方


 東芝は不適切会計問題を契機としたリストラにより、エネルギー、社会インフラ、半導体を中核に据え、これら3事業をICT(情報通信技術)が支える体制に移行した。このICTを担う部門が「インダストリアルICTソリューション(INS)社」で、IoT事業の推進役でもある。画像・音声認識やエッジコンピューティングなど東芝のIoT技術は尖った部分も多い。今は縁の下の力持ちであるINS社だが、将来は東芝を担う存在になるかもしれない。
(日刊工業新聞第一産業部・後藤信之)

ファシリテーター・八子知礼氏の見方


 ちょうど昨日も大手インテグレータとこの手のトータルソリューションの是非について議論していたところだ。GEが「Predix」を提供するなど確かにトータルソリューションは求められている傾向にはあるが、その前提としては当該ソリューション提供者側が自社で培ったノウハウを外販することが前提なことであろう。

 求める企業はノウハウを買おうとするため、トータルで多少カスタマイズ性を犠牲にしたり高い費用であっても妥当と考えざるを得ない。
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日刊工業新聞2016年11月25日
八子知礼
八子知礼 Yako Tomonori INDUSTRIAL-X 代表
一方でそこまでのトータルソリューションを変える企業は国内ならば限定的で、その他多くは組み合わせによるソリューションとカスタマイズ柔軟性、その上で安くて早いという極めてある意味 "わがまま" なニーズであることが殆どだ。ある程度標準化を図ったとしても重厚長大なトータルソリューションで解決できることは限られる。今回のソリューションが東芝のノウハウがふんだんに盛り込まれていて、現場の細やかなニーズに対応できるかどうかに期待がかかる。

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