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ホンダ社長、自動運転車の前倒し投入には否定的

八郷氏インタビュー「しっかりしたものを出すことが優先だ」
ホンダ社長、自動運転車の前倒し投入には否定的

八郷社長

 ホンダの八郷隆弘社長が日刊工業新聞社などのインタビューに応じ、自動運転の開発でオープンイノベーションを広げ、プラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)など電動車両を強化する方針を改めて示した。各地で広がるシェアリングの動向も注視している。主なやりとりは以下の通り。

 ―自動運転の開発競争が激しいです。
 「安全技術群『ホンダセンシング』が思った以上に評価されている。自動運転よりもまずはこれを拡大したい。2020年の高速道路での自動運転車の発売を計画しているが(発売を早めるより)しっかりしたものを出すことが優先だ。自動運転は都内の知能化技術の研究拠点やシリコンバレーを使ってオープンイノベーションでやっていきたい」

 ―トヨタ自動車などEVを強化する動きが相次いでいます。
 「まだEVは限定された使われ方になるだろう。米国ではスポーツ多目的車(SUV)『CR―V』など小型トラックにEVを適用するのは(航続距離の問題で)難しいためPHVを検討することになる。だが、ZEV対応や燃料電池車(FCV)の普及に向けた電池の研究にもEVは必要になるからしっかりやりたい。17年の米国を皮切りに日中欧にも展開したい」

 ―各地でシェアリングビジネスが急速に広がっています。
 「地域ごとに状況が異なり、日米中、東南アジアなど各地域で事業として何ができるか考えている。(トヨタが米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズに出資したように)具体的な出資案件はない。車を売ることを考えたときに、シェアリングだからといってどんな車でもいいとはならないだろう。シェアリングで選んでもらえるような車づくりをする必要が出てくるかもしれない」

 ―北米で小型トラックの増産体制を整えています。
 「米国では石油価格に連動して小型トラックの需要が増えている。大きな投資をして北米全体の生産能力を拡大することなく、生産の柔軟性を生かして小型トラックの生産能力を拡大する。グローバル規模の生産と販売のギャップがまだある。小型トラック以外の乗用車は日本と欧州の余剰能力を活用する」

 ―中国の減税が年内に終了する見通しで反動減が懸念されます。
 「減税対象の車種をそんなにそろえているわけではない。二つの合弁会社で偏っていた商品群を拡充したのが今の好調につながっている。減税終了の影響はあるとは思うが、商品群を両社で構築することで対応していきたい」

【記者の目・難しさ増すかじ取り】
 エコカー、自動運転、つながる車、シェアリングと競争分野は多様化している。環境変化はスピードを増し、競合や協調相手の業種も広がる中で、既存の車メーカーのかじ取りは難しさを増す。トヨタなど年1000万台組に比べて規模で見劣りするホンダが、この競争環境下でどう生き残るのか。八郷社長のかじ取りに注目が集まる。(編集委員・池田勝敏)
日刊工業新聞2016年11月24日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
何度か書いているかもしれないがホンダという会社は創業者である本田宗一郎氏のイメージからか、先進的な会社と思われがちだが、意思決定や制度など実はとても保守的な会社である。最近はあの「大トヨタ」に方が俊敏にいろいろ手を打っているように見える。過去のリーダーをみても比較的トップダウンでやとうろした経営者はあまりうまくいっていない。エンジニアに限らず「餅は餅屋」という体質が改革を拒絶してきた。ホンダジェットもあくまで辺境の地でずっとやってきたからここまできた。メーンの四輪事業はマルチタスクに弱い。八郷社長は地味ながら生産体制の見直しなどを着実に進めているが、社長を補佐する副社長、専務などマネジメントチームの一体感、さらには部長、課長レイヤーまでが危機感を共有できないと、これからはもっと厳しい状況になりかねない。

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