トランプ相場はいつまで続く?さらなる円安は期待薄

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トランプ公式サイトより
 日本に円安・株高をもたらした“トランプ相場”はいつまで続くのか―。大規模減税やインフラ投資といったトランプ米次期大統領への政策期待が高まる一方、トランプ氏は大統領就任初日にも環太平洋連携協定(TPP)離脱を通告すると宣言。保護主義が強調されるようなら市場が失望しかねない。エコノミストの間では「もう一段の円安は期待できない」「金融市場のボラティリティー(予測変動率)が高くなる」といった見方が出てきている。

材料出尽くし


 トランプ次期大統領への政策期待が、米国の株式相場と長期金利を上昇させ、日米金利差の拡大により円安・ドル高基調の為替相場で推移している。加えて米連邦準備制度理事会(FRB)による12月の追加利上げの可能性が高まっていることも、円安に傾きやすい材料になっている。

 今後の為替相場について、ニッセイ基礎研究所の窪谷浩主任研究員は「米国による12月の利上げは間違いない。ただマーケットは利上げを相当織り込んでおり、材料の出尽くし感から、年末にかけてもう一段の円安はないと思う」と指摘する。

 その上で「1ドル=105円の円高に戻ることはないだろうが、米大統領就任までは同107―108円程度で推移するのではないか」と予測する。

110円台なるか


 ただベストシナリオを描けば、トランプ大統領誕生後に再び「米国の金利が上昇し、同110円台の円安に戻る」とみる。ベストシナリオとは、大規模な減税とインフラ投資をめぐる議会との関係が円滑に進む一方、通商問題や移民政策などの問題を後回しにするような状況だ。

 第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「市場は米国の12月利上げを織り込んでいる」としながら、今後の円ドル相場は「新たに選任される米財務長官はドル高を歓迎するのか、トランプ氏が大統領就任後に打ち出す政策の行方がどうなるかがポイントになる」と分析する。その上で「『米国内に製造業を戻す。そのためにはドル安が必要だ』となれば、その時点で“トランプ相場”は終わる」とし、トランプ相場が継続する期間も「新大統領就任の1月までもたず、年内だと思う」とも指摘する。また、米国経済の先行き不透明感から金融市場のボラティリティーが高くなることにも警戒感を示す。

 安倍晋三政権は米国に向けて自由貿易の旗を振り続けると同時に、構造改革の推進などにより内需を堅実に拡大していく施策が重要になる。

日刊工業新聞2016年11月24日

COMMENT

神崎明子
デジタルメディア局
編集委員

24日午前の東京外国為替市場は円安が進みました。米国が12月にも利上げに踏み切るとの見方が広がっているためです。

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