「マジで恋する8分間」 食品メーカー、SNSで“驚き”を拡散
日清食品やキリンビバレッジが新たな販促方法で商品訴求
日清食品やキリンビバレッジが、会員制交流サイト(SNS)やスマートフォンなどを活用し、商品の販売を促進している。日清食品は即席カップめん「日清ラ王 芳醇(ほうじゅん)コク担々麺」を先月に発売、スマホ用無料アプリケーション(応用ソフト)を使った拡張現実(AR)のソフト(ボイスドラマ)の提供を始めた。キリンビバも先月に発売した新商品の缶コーヒーで、発売前の大量サンプリングを実施。SNSの書き込み数が約1万件に達した。スマホの普及とSNSなどが、メーカーの販促手法を変えている。
日清食品が提供しているボイスドラマは「マジで恋する8分間」。美少女キャラクターが5人登場し、ラ王に湯を注いで待つ5分間と食べる3分間に、少女が話しかけるなど一緒に食べている気分が味わえる仕掛け。臨場感を高めるため、イラストレーターやシナリオライター、コンピューターグラフィックスクリエイターにそれぞれ専門家を起用。音声も立体録音と3次元(3D)オーディオ録音技術を使った。
日清食品はこのほかにも、調理で色が変わる「日清ラ王 塩」レシピをインターネットの公式サイトで公開したり、SNS上で話題になった「日清どん兵衛」の“裏調理法”に特設サイトでコメントを出したりするなど、ネットを活用した販促に力を入れている。
美少女ボイスドラマやどん兵衛の裏調理法の回答では、10―20代男性のSNS拡散効果が見込める。日清ラ王の色が変わる調理レシピ公開も、見慣れたラーメンスープがピンクや紫色に変化する“驚き”がSNSで拡散することで、主婦層へのPR効果が期待できる。コンビニやスーパーで消費者に手にとってもらいやすくなる。
(キリンビバのシークレットサンプリングはSNSで話題に=堀口英樹社長)
キリンビバは缶コーヒー「キリンファイア エクストリームブレンド」発売の2週間前に、商品名やブランド名をあえて明かさない“シークレットサンプリング”を実施した。SNS上で「キリンビバの新コーヒー、飲んだ?」などと話題になり、狙い通り発売前から消費者の関心度が高まった。
同社の山形光晴マーケティング部部長は「一般消費者からは『缶コーヒーなんて、どれを飲んでも同じ』と思われている。その常識を打ち破りたかった」と明かす。
缶コーヒーも即席カップめんも、スーパーで特売の対象にされやすい商品だ。日清食品の安藤徳隆社長はSNSで話題になる効果について、売り上げ増加につながるだけでなく「人気で品薄になるため、値引きを抑えられる利点がある」と見る。
ただし、SNSを通じた販促の効果は、一歩間違えば欠品や不買運動などにつながる恐れもある。だが、若者や女性の情報入手法は従来主流だったテレビではなく、スマホやネット経由が一般的だ。
食品メーカーに限らず、消費者に近い日用品やオフィス用品、機械の消耗品などまで、ネットを介し口コミ情報が行き交う。競争力を高めたいメーカーにとって、新しい販促手法は今後、さらに重要性を増すことになる。
(文=嶋田歩)
日清食品が提供しているボイスドラマは「マジで恋する8分間」。美少女キャラクターが5人登場し、ラ王に湯を注いで待つ5分間と食べる3分間に、少女が話しかけるなど一緒に食べている気分が味わえる仕掛け。臨場感を高めるため、イラストレーターやシナリオライター、コンピューターグラフィックスクリエイターにそれぞれ専門家を起用。音声も立体録音と3次元(3D)オーディオ録音技術を使った。
日清食品はこのほかにも、調理で色が変わる「日清ラ王 塩」レシピをインターネットの公式サイトで公開したり、SNS上で話題になった「日清どん兵衛」の“裏調理法”に特設サイトでコメントを出したりするなど、ネットを活用した販促に力を入れている。
美少女ボイスドラマやどん兵衛の裏調理法の回答では、10―20代男性のSNS拡散効果が見込める。日清ラ王の色が変わる調理レシピ公開も、見慣れたラーメンスープがピンクや紫色に変化する“驚き”がSNSで拡散することで、主婦層へのPR効果が期待できる。コンビニやスーパーで消費者に手にとってもらいやすくなる。
「常識を打ち破りたかった」
(キリンビバのシークレットサンプリングはSNSで話題に=堀口英樹社長)
キリンビバは缶コーヒー「キリンファイア エクストリームブレンド」発売の2週間前に、商品名やブランド名をあえて明かさない“シークレットサンプリング”を実施した。SNS上で「キリンビバの新コーヒー、飲んだ?」などと話題になり、狙い通り発売前から消費者の関心度が高まった。
同社の山形光晴マーケティング部部長は「一般消費者からは『缶コーヒーなんて、どれを飲んでも同じ』と思われている。その常識を打ち破りたかった」と明かす。
缶コーヒーも即席カップめんも、スーパーで特売の対象にされやすい商品だ。日清食品の安藤徳隆社長はSNSで話題になる効果について、売り上げ増加につながるだけでなく「人気で品薄になるため、値引きを抑えられる利点がある」と見る。
ただし、SNSを通じた販促の効果は、一歩間違えば欠品や不買運動などにつながる恐れもある。だが、若者や女性の情報入手法は従来主流だったテレビではなく、スマホやネット経由が一般的だ。
食品メーカーに限らず、消費者に近い日用品やオフィス用品、機械の消耗品などまで、ネットを介し口コミ情報が行き交う。競争力を高めたいメーカーにとって、新しい販促手法は今後、さらに重要性を増すことになる。
(文=嶋田歩)
日刊工業新聞2016日10月7日の記事を一部修正