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ウイルス感染による糖尿病発症の遺伝子を発見!「国民病」の研究発表相次ぐ

九大などの成果、ワクチン開発に弾み。大阪市大は糖尿病と睡眠障害の関連性を解明。
ウイルス感染による糖尿病発症の遺伝子を発見!「国民病」の研究発表相次ぐ

(イラストはイメージ)

 九州大学大学院医学研究院の永淵正法教授らは、ウイルス感染による糖尿病の発症に関わる遺伝子を発見した。ウイルスの増殖を抑えるたんぱく質の産生に関わる「TYK2遺伝子」が変異すると、糖尿病の発症リスクが2倍程度に高まることが分かった。糖尿病を起こすウイルスを発見できれば、ワクチンの開発につながる可能性がある。

 松山赤十字病院や福岡大学医学部付属病院など8医療機関との共同研究。成果は国際科学誌イーバイオメディシンに掲載される。

 DNA配列の個体差である「遺伝子多型」に着目。健常者331人、1型糖尿病患者302人、2型糖尿病患者314人を対象に、ヒトTYK2遺伝子を調べた。健常者に比べ、糖尿病患者の中で同遺伝子が変異している割合は約2倍の8―10%だった。

 さらに1型糖尿病患者のうち、風邪の症状の後に1型糖尿病を発症した場合、変異型遺伝子を持つ患者の割合は13・7%だった。ウイルスの感染で1型糖尿病を発症する可能性が高くなることを示した。
(日刊工業新聞2015年05月20日 科学技術面)

 大阪市大は糖尿病と睡眠障害が密接に関連していることを解明

 大阪市立大学大学院医学研究科の稲葉雅章教授らの研究グループは、糖尿病と睡眠障害が密接に関連していることを脳波計による観測で解明した。糖尿病の血糖値悪化により睡眠障害が引き起こされ、早朝に血圧が上昇し糖尿病の症状を悪化させるサイクルができるという。睡眠導入剤などを有効的に利用し、不眠治療と糖尿病の改善を関連づけた治療法を確立できると期待される。

 2型糖尿病患者63人の睡眠時の脳波を観測したところ、血糖値が悪化すると睡眠時の脳の休息時間が短縮され、睡眠の質が低下することで動脈硬化のリスクが高まる。また、早朝高血圧により血管障害が引き起こされ、糖尿病の悪化につながることが分かった。成果は14日、米科学誌プロス・ワン電子版に掲載される。
日刊工業新聞2015年04月14日 科学技術・大学面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
最近血糖値が高く睡眠不足。注意しないと。

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