アプリ開発者が世界中で19,000人まで広がったGE「Predix」の進化

エコシステムの勢い止まらず。単一企業の開発よりも圧倒的な知見とスピード

 産業用IoTのためのオペレーティング・システムとして米ゼネラル・エレクリック(GE)が開発した「Predix」をあらゆる企業が活用できるように公開してから、1年が経った。

 世界中のソフトウェア・エンジニアたちはPredixプラットフォーム上でアプリを開発できるようになり、鉄道や飛行機、発電所をはじめとした様々な機器からデータを収集し、クラウドシステムを使って解析することが可能にしている。

 例えば、世界最大級のエレベーターメーカーであるシンドラー社は、Predixプラットフォームを使ってエレベーターとエスカレーターの電力消費の最適化を図っている。

 GEは11月15日からサンフランシスコで開催した「Minds+Machines 2016」で、この「Predix」の次世代バージョンを発表。新しい「Predix」は、文字通り“エッジ”の効いたプラットフォームに仕上がった。

 IoT領域で言う“エッジ”とは、クラウドとお客様の環境との接点部分。つまり、新しい「Predix Edge System」では、全てのデータをクラウドに送らずとも、システムの「エッジ(境界)」あるいは機器上で直接解析を始めることが可能になった。

 ユーザー企業は、超小型医療機器からコントローラー、ネットワーク・ゲートウェイ、ルーターに至るまで、どこでも必要なところに機器用アプリを組み込むことができ、それを最終的にクラウドと接続できるようになる。

 結果として、プログラムが高速化し、機器はそこから得られた解析データを活用して自らを修復したり最適化できるようになるわけだ。

 理論的には、シンドラーグループでは今後、個々のエレベーターに小型コンピュータを搭載してその場でデータを解析、即座に必要な修正措置をとることが可能になるはず。中央制御されたコンピュータ上で作動する「Predix Analytics」がオペレーションを最適化するのを待つ必要はなく、現地の機器上で直接Predixプラットフォームの100個のアプリケーションが作動するようになる。

 GEはこれまで、「Predix」の開発に10億ドルを費やしてきた。来年はこれを上回る投資を行い、Predixプラットフォームのマシーン・ラーニング能力をいっそう向上させるためにこの新しいエッジ用システムの機能を活用し、将来は機器が自らの効率性を高めるべく学習できるようにする計画。

 いま、米国、インドを筆頭に、日本を含む世界中で19,000人あまりがPredixプラットフォーム上でアプリ開発を行っている。

 加えて、アクセンチュア、AT&T、キャップジェミニ、シスコシステムズ、デロイトデジタル、インフォシス、インテル、ジェンパクト、ソフトバンク、ソフトテック、TCS、ボーダフォン、ウィプロといったパートナーがGEと協働しており、これらのパートナー企業はPredixプラットフォーム上のアプリを開発するために、自社の開発者向けの研修も行っている。

 また、アプリ開発者向けには、その開発を簡易にする43(2016年11月時点)のソフトウェア構築用ブロック、つまり時系列データベースやブロックチェーン・ベースのセキュリティ性能といったマイクロサービスを用意。そして、来年にはこうした開発者向けツールをビジュアル化して、さらに使いやすくしていく予定という。

ファシリテーター・八子知礼氏


 エッジまで拡大した新版Predixを発表したGE Predixエコシステムの勢いが止まらない。様々なインダストリーでそれぞれの専門性を活かしたアプリケーション開発を行うことで、単一企業が開発するよりも圧倒的な知見と開発スピードを実現するアプローチだ。

 日本企業や日本の大手SIerの場合、自前主義にこだわるが故に開発スピードも遅く、ノウハウが十分でないSIerがアプリケーション開発に四苦八苦しながら垂直統合で作ろうとするので費用も期間も必要とすることが常態化して来た。
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GE Reports Japan

八子 知礼

八子 知礼
11月21日
この記事のファシリテーター

GE Predixが標榜する方向性は、開発スピードとアプリケーション多様性、そしてエコシステムの広がりだ。かつてSAPがERP市場を席巻したように、これからはインダストリアル市場でPredixが市場席巻することになるだろう。その結果としてIT産業の構造変化とインダストリ市場とIT市場の融合、さらには同様の考えを持つインダストリアルなプラットフォーマーが出て来ることを大いに期待したい。

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