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「溶けるステント」国内初の承認。アボットが冠動脈用

気持ちの面でも傷が少ない!?
 アボットバスキュラージャパン(東京都港区、マシュー・シュミット社長)は、厚生労働省から生体に溶ける冠動脈ステント「アブゾーブ」の製造・販売承認を取得した。狭くなった冠動脈の血管を広げ、内側から支える血管治療をしながら、3年程度で徐々に体内で分解、消失する。生体に溶けるステントは国内初。今後保険適用を目指す。

 アブゾーブは生体吸収性を持つポリ乳酸を素材に使用し、体内で完全に分解する。ステント径は2・5ミリ―3・5ミリメートルで、ステント長は12ミリ―28ミリメートル。すでに世界100カ国以上で販売承認され、15万人以上の冠動脈疾患治療に使用されている。

 国内で38の医療機関・400症例の治験を行い、従来の金属製ステントと安全性・有効性が同水準であることも示されている。従来の金属製ステントは血管治療後も永久的に血管内に残るため、収縮・拡張など血管本来の運動機能を妨げるという声もあった。
日刊工業新聞2016年11月15日
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
血管の狭窄部分にステントを留置して治療する血管内治療は進化を遂げているなと実感する。もともと血管内治療は手術時に開胸などと比べて患者への手術の傷が少ない低侵襲技術だが、治療した後に器具そのものが解けてなくなるとなると、気持ちの面でも傷が少ないような気がする。

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