スポーツ以外でも頑張るミズノ!トヨタの「MIRAI」にも炭素繊維が採用

担当役員インタビュー 逆にスポーツ用品に応用するなど相乗効果も生まれる

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細かな品質検査を行いCFRP製品の開発を行う
 スポーツ用品メーカーのミズノは、技術を応用してスポーツ以外の分野にも部品・部材を供給している。素材は炭素繊維強化プラスチック(CFRP)。トヨタ自動車の燃料電池自動車「MIRAI」の高圧水素タンク外殻のトウプリプレグで採用されるなど評価が高い。素材の可能性をどう引き出しているのか、樋口良司取締役に聞いた。
 
 ―CFRP製品の開発で意識されている点は。
 「用途に合わせて炭素の特性をいかに利用するかが重要だ。高価な素材であるため、特徴を生かして使用するメリットを生まなければいけない。CFRPの樹脂の固さと炭素繊維の方向や組み合わせで弾性率が変化するので、これらを調整してユーザーの希望する機能を実現していく」

 ―どんな機能を持たせることができますか。
 「例えば、『MIRAI』のトウプリプレグでは、水素タンクに巻き付けるため、円心方向に強くした。腕時計のバンドでは、炭素繊維を斜め45度に配置することで、柔軟性を実現した。振動が早く収まりやすいという特徴もあるため、産業用ロボットのアームや液晶製造の補助板など、生産設備にも採用されている」

 ―多様な製品を生み出せる理由は。
 「当社のCFRP製品は約40年前にゴルフのシャフトから始まった。ねじりの強さがどのように働くか、ボールに当たったときにつぶれる方向などを考えて設計した。重量が同じでもねじれを減らす対応ができるようになった。スポーツメーカーは新しい材料をテストし、早期に特徴を見つけて実用化しやすい。CFRPが世の中に浸透する前から量産化技術を確立できた。耐久性が求められるスポーツ分野での実績は、他分野の市場開拓時にも強いブランド力になっている」

 ―CFRP製品を開発するにあたり、難しい点は。
 「樹脂の塗布と成形が難しい素材だ。多くの樹脂の中から何を選ぶか、添加物を入れて強度を上げるなどの工夫もする。要求品質とコストのバランスを取るため生産性を高める技術開発も並行して行う。炭素繊維に樹脂を染み込ませる含浸のスピードが重要だ。樹脂を一定に供給し、均一性を実現させる技術を製品ごとに確立する」

 ―素材としてのCFRPの可能性は。
 「引っ張り強度の強さや熱伝導の低さなど多様な特徴がある。冷たさがなく軽い素材のため、人に触れる製品でも応用しやすそうだ」
 
 【チェックポイント/成熟市場にも相乗効果】
 スポーツ以外の分野でCFRPの可能性を伸ばすため、ミズノは2002年にCFRP製品の工場をミズノテクニクス(岐阜県養老町)として分社化。スポーツ市場が成熟して急成長しにくい中、他分野の需要を取り込んできた。軽量で耐久性が高く、内部の炭素繊維が見えることでデザイン性にも優れる素材だ。用途に応じた繊維と樹脂の組み合わせの工夫で要望に応えてきた。
 他分野のニーズを満たした技術を、逆にスポーツ用品に応用するなど相乗効果も生まれている。
 (聞き手=大阪・安藤光恵)

日刊工業新聞2015年05月19日 モノづくり面

COMMENT

明豊
執行役員デジタルメディア局長 DX担当

パラリンピックなどの機具などの進化でもCFRPの可能性はかなりありそう。

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