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Uberが先行する「配車アプリ」―成長見込むLINE、楽天、ソフトバンク

Uberが先行する「配車アプリ」―成長見込むLINE、楽天、ソフトバンク

タクシー配車サービス「LINE TAXI(ライン タクシー)」

 IT企業の間で、スマートフォンを利用してタクシーやハイヤーを呼ぶ「配車アプリ」への関心が高まっている。スマホ上の地図を使い、指定場所に簡単に車を呼ぶことができるのが特徴だ。LINEは年明けから国内でサービスを開始。楽天ソフトバンクは成長性を見込み、相次いで海外大手に出資した。
 
 配車アプリで先行するのは、米国で2009年に設立された「ウーバー」。日本でも昨年3月にサービスを開始しており、現在では57カ国の300都市以上で展開している。
 LINEは大手タクシーの日本交通(東京都北区)と提携し、ウーバーに対抗する形で1月に配車アプリを使ったサービスを開始。「複数で利用して『割り勘』にすれば、(公共交通機関より)安い場面も多い」(出沢剛LINE社長)と語り、タクシーを利用することが少ない若年層にも浸透を図る。

 楽天は3月、「サービス業界を根本的に変え、社会に恩恵をもたらす」(三木谷浩史会長兼社長)とし、ウーバーのライバル会社「リフト」(米サンフランシスコ)への出資を発表。ソフトバンクも昨年10月以降、インド、シンガポール、中国の配車アプリ3社に合わせて約1300億円の出資を決めた。

 各社とも「(他社との)差別化や成長の原動力」(ソフトバンク)などと、新たなビジネスの可能性に期待を寄せる。海外企業への出資も、将来の日本での事業展開に向けたノウハウ蓄積が狙いとの見方も浮上している。

 配車アプリが注目を集めるのは、「シェアリング・エコノミー(共有型経済)」と呼ばれるビジネスに発展する可能性があるためだ。例えばウーバーは米国で、タクシー免許を持たない一般ドライバーと乗客をアプリを通してつなぎ、乗客を搬送する事業を行うことで急成長を遂げた。
 ただ日本では、道路運送法が禁じる「白タク」行為に当たる疑いがあるため、このサービスは行われていない。また配車アプリも国内では現状、サービス地域やタクシーの台数が限られ、スムーズに機能する便利なインフラとして根付くまでには、課題は多いとみられている。
日刊工業新聞2015年05月19日 総合3面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
Uber成長のカギとなった一般ドライバーの乗客輸送が日本では適用できないなど、米国と日本ではタクシー文化が大きく異なります。LINEはモバイル送金・決済サービス「LINE Pay」との連携でリピート率を高めているようです。各社の工夫や差別化が必要になってきそうです。

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