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コンビニで進む“脱デフレ” 320円アイス、10日で100万個販売

セブン―イレブンは焼き菓子、ローソンは国産カニホタテまん
コンビニで進む“脱デフレ” 320円アイス、10日で100万個販売

コンビニ各社は付加価値商品でしのぎを削る(セブン&アイ・HDは焼き菓子を刷新)

 コンビニエンスストアで“プチぜいたく”を打ち出した商品が売れている。コンビニ業界は再編により、大手3社へ経営の集約化が進む。これにより競合が減り、サービスや商品の同質化が懸念される中、特徴ある商品を出すことで顧客の呼び込みや「ついで買い」を促す狙いだ。

 ミニストップは、鹿児島県の種子島産さつまいも「安納芋(あんのういも)」を使ったソフトクリーム「プレミアム安納芋ソフト」を発売した。価格は消費税込みで320円と、通常のソフトクリームよりも100円高い。販売数は発売から10日間で100万個と、最速のペースだ。

 同社は2013年度から、材料を厳選して「プレミアム」と銘打ったソフトクリームを随時販売している。ソフトクリームやパフェなどのコールドスイーツの販売量は13年度の5004万食から、15年度は5930万食に伸びた。堀田昌嗣取締役常務執行役員は「要因はプレミアム商品のヒット」と語る。

 16年度は7000万食を目標に掲げている。堀田取締役常務執行役員は「『少し安いけど普通』はダメ。価格が高くても、こだわりがあれば買っていただける。圧倒的に他を突き抜ける商品を発売したい」と意気込む。

 セブン&アイ・ホールディングス(HD)はオリジナルの焼き菓子の一部を、「セブンカフェ」ブランドに刷新し、セブン―イレブンなどで8日に発売した。これまでは同社の共通プライベートブランド「セブンプレミアム」で展開しており、15年に小容量焼き菓子の品質向上に取り組んだところ、売り上げは刷新前と比べ、3割増で推移している。

「もうひとつ上のステージに行けると感じた」


 中村功二セブン―イレブン・ジャパン商品本部飲料・加工食品部総括マネジャーは「もうひとつ上のステージに行けると感じた。百貨店や専門店で支持されている上質な焼き菓子を、コンビニの新たな商品として提供したい」と語る。

 陳列箱を新たにデザインし、一部は価格を上げた。首都圏の百貨店などで洋菓子を展開しているグレープストーン(東京都中央区)と共同開発したクッキーサンド「シュガーバターの木」などを手軽に買えるようにする。3個入りで、消費税込みの価格は237円。

 ローソンは1日に、鳥取県産紅ズワイガニや北海道産、青森県産のホタテを使った消費税込み価格320円の「特撰(とくせん)国産カニホタテまん」を発売した。同社は9月から、国産食材を使った数量限定品を順次発売している。

 日本フランチャイズチェーン協会のまとめによると、コンビニの平均客単価は、9月まで18カ月連続で前年同月実績を上回っている。消費環境が停滞している中、コンビニ各社は財布のひもを緩めたくなるような商品の開発にしのぎを削っている。
(文=江上佑美子)
日刊工業新聞2016年11月10日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
コンビニは付加価値をつけなければならない宿命です。安売りは百害あって一利なし。かつて米国のコンビニがディスカウントに走った結果、経営不振に陥ったことがそれを証明しています。

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