トヨタ、「原価改善」ギアを上げる

「乾いた雑巾」絞れるか

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豊田章男社長
 自動車メーカー各社の収益が円高で下振れする中、トヨタ自動車グループが原価低減による収益改善策を一段と強化する。トヨタは「年間3000億円の原価改善」(大竹哲也常務役員)を目安に収益力を向上してきたが、円高などで減収減益を見込む2017年3月期は緊急の収益改善活動を進め、減益幅を少しでも縮めようとしている。円高はトヨタにとって「乾いた雑巾を絞る」ためのチャンスとなるのか。

年4150億円


 「ブレグジット(英国の欧州連合離脱問題)直後に始めた緊急収益改善活動が大変順調だ」。8日の決算会見で伊地知隆彦トヨタ副社長はこう述べた。6月の英国民投票後、トヨタは円高の長期化を見据え、収益体質の強化に動きだした。

 原価改善の柱は、トヨタ自身のコスト削減と部品メーカーからの購入価格の引き下げ。量産開始後の車種で生産工程などを効率化するVA(価値分析)活動に加え、16年4―9月の半年間に多くの部品の購入価格を前の期と比べて引き下げた。10月以降の半年間でもさらに下げる方向で多数のサプライヤーと協議している。

 これらの成果として17年3月期は4150億円の原価改善効果を見込む。トヨタは期の途中で原価改善効果を積み上げることが珍しくなく、第3四半期以降もさらに原価低減が進む可能性がある。


デンソー、アイシンなども原価改善


 原価改善はグループ企業にも広がる。デンソーはこのほど「合理化をやり切る」(有馬浩二社長)として、17年3月期の営業減益幅を縮小。アイシン精機は企業体質改善による17年3月期の営業利益の押し上げ効果を330億円と、5月時点の予想と比べて30億円積み増した。約2年前に大幅な構造改革に着手したトヨタ紡織は、新製品の立ち上げ効率化などが奏功し、17年3月期に過去最高の営業利益を見込んでいる。

 トヨタは17年以降、中国やメキシコなどに新工場を相次いで建設する。また自動運転技術など先端分野への投資も増え、設備投資・研究開発投資ともに高水準が続く見通し。マツダやスズキ、完全子会社化したダイハツ工業などとの提携や協業も進める中、「お家芸」とも言われる原価改善で自らを引き締め、成長への足場を固める。
(文=名古屋・杉本要)

日刊工業新聞2016年11月10日自動車面

COMMENT

「トランプリスク」の顕在化で今後は見通しにくいですが、トヨタが原価改善のペースを上げています。グラフに示してみましたが、最近の数年間の中でも高水準で原価改善を進めます。

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