建設現場の人手不足に朗報!?200kgの鉄筋を運ぶアシストロボット

パナソニック子会社がトンネル工事の搬送向けに製品化

  • 0
  • 0
 パナソニック子会社のアクティブリンク(奈良市、藤本弘道社長)が、重量物搬送のアシストロボットで攻勢をかけている。清水建設などと建設現場の鉄筋搬送作業を支援するロボットを共同開発。一方で60キログラムの重量物を楽に歩いて運べるパワードスーツも2020年の実用化を目指す。藤本社長は「重労働の負担をなくし、労働力不足解消に役立ちたい」と意気込む。

 清水建設と同社子会社のエスシーマシーナリ(横浜市瀬谷区)と共同開発した「配筋アシストロボ」は、トンネル工事の際に使う鉄筋の搬送を支援する。ロボットの重さは250キログラム、作業半径が5メートルのアーム型と大きいが、4分割できて移動できる。利用する際はH形鋼などの鉄骨柱に固定。手の部分にあたる先端部に鉄骨をつかませ、先端部にあるグリップと上下移動のボタンで操作する。「クレーンと違い、自分が運んでいる感覚で動かせる」(清水建設)ことが特徴だ。

 これまで200キログラム近くの鉄筋を運ぶには6―7人を要していた。これが補助員を含めて3人で作業できる。現在、千葉県市川市の現場でテスト中。早ければ2017年の製品化を目指しており、使い勝手や小型化などを進める。

 下半身に装着して重量物を運ぶ「パワーローダーMS―04」は、上部に荷物を置いて楽に歩ける。荷物が胸の前にあり、前方の下部が見えにくくなる。そのため、機体の前部にカメラを搭載。カメラからの画像を上部の画面からユーザーに送ることで、つまずきなどのトラブルを防ぐ機能を追加した。

 パワーローダーは今後、レスキュー、原子力発電所内作業、特殊環境と用途ごとに進化していく方針。現在は下半身のみだが、「前部にロボットアームを装着して重量物をつかめる」(藤本社長)機能や、車輪を付けて移動もサポートできる、といった多彩な姿を描く。人間が動くような簡敏さを生かしつつ、数十キログラムの重量物を扱える世の中を目指し実証実験を進めていく考えだ。

 アクティブリンクは先行して製品化したロボット技術によるアシスト装具「AWN―03」を含め、海外展開を視野に入れる。出資元のパナソニック、三井物産の営業ネットワークを活用。20年に海外で10億円の売り上げを目指す。「東南アジアなど海外も人手不足が顕在化している」(同)ことから、地域ごとの仕様調整や規制対応を急ぐ。

 ロボット技術による搬送システムは数多いが、人間の重量物搬送を支援するスーツ型は意外に少ない。今後どこまで安全性と使いやすさを高められるか、期待が膨らむ。
(文=石橋弘彰)

日刊工業新聞2016年11月9日

COMMENT

石橋弘彰
相模支局
支局長

『機動戦士ガンダム』のモビルスーツのような技術はこの先フィクションのまま終わってしまうかもしれない。その代わり、アシストスーツのようなロボット技術はすでに基礎技術が確立しており、10年、20年先には普通にあちらこちらで見かける可能性がある。アクティブリンクは警察官がパワードスーツを装着して警備などの業務を行う将来図を掲げている。重量物を運ぶ負担だけでなく、あらゆる作業の安全性を高める効果もアシストスーツにはあるようだ。

関連する記事はこちら

特集