買い物のついでに健康づくり、高齢者向けの健康サロン開業

東急グループが東京・赤羽に1号店

  • 0
  • 0
順天堂大学と共同開発した健康寿命延伸のためのトレーニングプログラムを提供する「らくティブ赤羽」
 東急スポーツオアシス(東京都港区、平塚秀昭社長、03・5413・7710)は、「健康」と「交流」をテーマにした高齢者向けの新業態「らくティブ」を始めた。多くの高齢者は健康に不安を抱えながらも、健康維持のための具体的な動きを起こせないままでいる。同社は気軽に楽しく参加できる新しいサービスを提供し、従来のフィットネスクラブでは捉えきれなかった需要をつかむ。

 東急スポーツオアシス第1号店として、1日に「らくティブ赤羽」(東京都北区)を開業した。場所は「ダイエー赤羽店」の2階。地域住民が毎日のように訪れる場所を選んだ。店舗面積は約130平方メートル。スタジオとラウンジを設けてあり、運動プログラムだけでなく会員同士でお茶や雑談も楽しめる。「家でも会社でもない『もうひとつの居場所』」(大川朋宏ヘルスケア事業推進部部長)を目指した。スタッフには会員の小さな変化を見逃さず、こまめに声をかけるよう指導している。

 同社によると、日本の人口に占めるフィットネスクラブの参加率は3%程度で、ここ20年来変化がない。急増する“介護予備軍”の中でも「自分で積極的に動くわけではないが、健康に不安を抱えている人は多い」(同)という。同社はこうした潜在顧客を「ハザマシニア」と名付け、入会を促すターゲットに据えた。開業場所にもプログラムの内容にも、入会の敷居を下げるための仕掛けを施した。

 敷居は低いが運動プログラムは本格的だ。目玉は順天堂大学と共同開発した「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」予防プログラム。このほかにも腰痛・膝痛予防などの、科学的知見に基づいたトレーニングを提供する。運動だけでなく、スキンケアや栄養に関する学習プログラムなども用意した。

 開業後の出足は好調だ。想定会員数400人に対して、1割以上が会員となった。料金プランは定額制と、プログラムの受講ごとに料金を支払う「お手軽プラン」の2種類としたが、最初から定額制を選ぶ人が多いという。

 月額6980円は、年金で暮らす高齢者にとって小さくない出費のはず。とはいえ「『健康』や『元気』に対する投資として価値があるとわかれば、支払ってもらえる」(齊藤卓ヘルスケア事業推進部シニア事業開発推進マネージャー)とし、手応えを得る。

 店舗が入居するダイエーの売り場を回り、管理栄養士が会員に旬の食材を薦めるツアーも好評だった。スーパーなどに機能を補完してもらうことで「会員に必要な『食』と『健康』の要素を提供できる」(同)。

 2017年度も商業施設に併設する形で、2店舗程度を出店する計画。検証を重ねて他店舗展開につなげる。
(文=斎藤正人)

日刊工業新聞2016年11月8日

COMMENT

斉藤陽一
編集局第一産業部
デスク

 経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、2016年8月時点のフィットネスクラブの会員数は前年同月比横ばいの305万人。13年度末が300万人、14年度末が297万人、15年度末が302万人なので、記事で指摘している通り、そう大きな変化はないようです。一方、16年8月単月のフィットネスクラブの売上高(会費収入、利用料収入、食堂・売店の売上高の合計)は前年同月比1.6%増の267億円。55カ月連続で前年同月比プラスとなっており、記事に出てくる「『健康』や『元気』に対する投資として価値があるとわかれば、支払ってもらえる」という担当者の発言を裏付けています。

関連する記事はこちら

特集