ジャパンディスプレイ、アップルの要請で新工場の稼働早める

来月からスマホ向け液晶量産。業績改善で黒字転換なるか

 ジャパンディスプレイ(JDI)は、稼働時期を延期していた液晶ディスプレー生産拠点の白山工場(石川県白山市)を、12月中にも稼働することを決めた。主要顧客である米アップルが9月に発売したスマートフォン「iPhone7」が堅調なことに加え、中国スマホメーカー向けの供給がタイトで既存工場ではフル稼働が続いている。これを受けて本格稼働に踏み切る。好調な液晶パネル販売と工場の稼働率向上は、業績改善に寄与しそうだ。

 白山工場はアップルからの資金支援を受けて2015年春に着工。第6世代のガラス基板を使った液晶ディスプレー製造ラインを備え、当初の月産能力は2万5000枚を見込む。16年春の稼働を見込んでいたが、15年秋に発売されたスマホ「iPhone6」の販売低迷を受けて延期していた。事務棟を含めた全ての建設が完了したのを受けて10月に竣工(しゅんこう)式を行い試験稼働していたが、本格量産に向けて需給動向を慎重に見極めていた。

 足元では中国オッポや同ファーウェイが高価格帯スマホに採用する、韓国サムスンディスプレイの有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)パネルの供給が不足。中国スマホメーカーからの低温ポリシリコン(LIPS)液晶パネルの引き合いが旺盛になっており、スマホ向けパネルの量産拠点である茂原工場(千葉県茂原市)や能美工場(石川県能美市)では、フル稼働が続いている。

 また16年秋発売の「iPhone7」「同プラス」の販売は堅調に推移。白山工場でも一定の稼働率を維持できると判断したもようだ。加えてパソコン向けの中型パネルの受注も獲得しており、能美工場で量産する。

日刊工業新聞2016年11月8日

政年 佐貴惠

政年 佐貴惠
11月08日
この記事のファシリテーター

当初は2017年2月の稼働を予定していたが、アップルの要請やタイトな受給を受けて時期を早めたようだ。足下の受注は好調で通期の黒字転換の可能性も視野に入るだけに、白山の稼働時期にはずいぶんと慎重になっていた。9日には上期決算発表があり、中期戦略も改めて説明される見通しだ。JDIはこの1〜2年を乗り切って次の手を打てるかどうかが勝負所。状況の良い今のうちに体力を貯め、液晶のさらなる進化と有機ELの投資に振り向けられれば、生き残り策も見えてきそうだ。

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。