戴体制2カ月半、シャープが鴻海の一部として取り込まれ始めた

「シャープはグローバル企業になる。私の挑戦であり、使命の一つだ」

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1日の会見で
 拠点再編や縮小を打ち出したシャープの戴正呉社長。発光ダイオードを生産する三原工場(広島県三原市)を17年にも閉鎖し、福山工場(同福山市)に集約する案を検討している。広島事業所(同東広島市)の携帯電話工場も規模を縮小する可能性がある。

 すでに知的財産管理や物流部門を分社化したほか、各事業部門も鴻海グループの事業体制に合わせて20のビジネスユニットに細分化して組織を組み直しており、鴻海が各事業の収益を細かく管理する体制を構築している。

 これらの動きについて取引行幹部は「シャープが鴻海の一部として取り込まれる過程」と説明し、「16年度下期で負の部分を一掃するだろう」と構造改革の加速を予測する。

 一方でディスプレーパネルは赤字が続くが依然として成長事業の位置づけ。中国や国内の関連部門が肥大化している点を改善し、顧客の選別を進めれば「黒字化する自信がある」(戴社長)と言い切る。有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)パネル生産ラインに計574億円を投資して、米アップル向けで先行する韓国勢やジャパンディスプレイを猛追する構えだ。

 さらに国内市場の低迷や海外勢との競争に敗れて戦線を縮小していたテレビ事業も再拡大する方針。18年度の販売目標は16年度見込みから倍増の1000万台。鴻海の調達網を生かした製品開発を進め、東南アジアでブラウン管テレビの置き換え需要を狙う。

 欧州の事業譲渡先であるスロバキアUMCとは資本提携も視野にブランドライセンスを取り戻す交渉を始めた。シャープブランドを手中に取り戻し「輝けるグローバルブランド」として復活させたい考えだ。

「私は鴻海の取締役を辞める」


 ―有機ELパネル量産の見通しについて。
 「シャープは世界で一番高い技術力を持つディスプレーメーカー。液晶同様、有機ELも挑戦する。10月、試作ラインに約570億円の投資を決めた。まず4・5世代の試作ラインを成功させる」

 ―今後の拠点再編の可能性は。
 「国内工場だけでなく、営業所の再編もあり得る。研究開発拠点はまだ検討していない。構造改革は最もメリットが出るようにしたい。三原工場の機能を福山工場に移管すると経費が多くかかるが、福山に集中すれば効率を向上できる。結論はまだ出ておらず、どちらが良いのかもう少し考えたい」

 ―人員削減は。
 「人員削減の話は8月の就任以来一度もしたことがない。まず社員の適材適所の配置転換が大事。ただ、シャープは平均年齢が高く、若手が少ないのでバランスが悪い。退職者や、外部からの人材を募る。新卒も多く募集したい」

 ―海外のブランドライセンス供与の見直しについて。
 「シャープはこれからグローバル企業になる。早期に、必ず世界中のブランドを取り戻す。私の挑戦であり、使命の一つだ」

 ―鴻海グループの中でのシャープの位置づけと担う役割は。
 「シャープの独立性と透明性を保つ。18年には東証1部に戻りたい。私は鴻海精密工業の取締役を辞める申請をしている。鴻海グループの副総裁を辞任するかどうかはもう少し考える。鴻海にとってシャープへの出資はあくまで戦略投資だ」

日刊工業新聞2016年11月2日「深層断面」より一部抜粋

COMMENT

明豊
デジタルメディア局
局長

取引会社との間でも鴻海流が始まっている。コスト削減で今期が営業黒字への転換が確実になった。ただし「輝けるグローバルブランド」への道筋は見えていない。

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