永守さんが号令、技術力を持つ中小企業は集まれ!

日本電産がオープンイノベーションへ舵

 日本電産がオープンイノベーションを本格的に活用し始めた。これまでM&A(合併・買収)で事業を拡大し続けてきた同社だが、関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)に生産技術研究所(京都府精華町)を建設するのを契機に、社外との技術協力を加速。中小企業など外部から積極的に技術を取り込み、ビジネス領域を拡大する考えだ。

 10月中旬、日本電産はものづくりビジネスセンター大阪(MOBIO、大阪府東大阪市)で中小企業向けに技術ニーズ説明会を開催した。プレス加工や機械・電子部品製造といった関西のモノづくり企業や公的支援機関などから100人超が参加し、日本電産の要望に耳を傾けた。大阪府主催のビジネスマッチング事業「大阪スマートエネルギーパートナーズ」の一環として実施されたもので、同社がこれほど大規模に技術協力の説明会を実施したのは初めてだ。

 今回の説明会で日本電産が提示した技術ニーズは部品の外観検査や精密鍛造・プレス、3次元センサー、ロボット制御プログラム開発など16項目で、多岐にわたる。またロボット用ハンドやFPGA(プログラミングすることができるLSI)プログラムの設計など、業務委託という形で協力を求めるものもあった。これらはグループの各部署で挙げられた技術課題を生産技術研究所がとりまとめたものだ。

 同研究所は2015年10月に発足。けいはんな学研都市に中核拠点となる新棟を建設中で、18年の完成以降は中小企業などと共同開発を行うオープンな場所としても活用する。すでに同社は中央モーター基礎技術研究所(川崎市幸区)を持ち、モーター技術や制御ソフトウエア技術の基礎研究に取り組んでいるため、生産技術研究所ではそれら以外のすべての分野をカバーするという。

 同社の事業は多岐にわたる。そのためグループが抱える細かな技術課題の解決をM&Aだけに頼るのは難しくなっている。生産技術研究所副所長の中島豊平執行役員は「M&Aによる領域拡大と、オープンイノベーションによる要素技術の取り込みの両方が必要になっている」とオープンイノベーションに力を入れる理由を説明する。

 これまで自社の技術研究をオープンにする機会は少なかった。そのため外部組織と連携した取り組みは不慣れで、試行錯誤が続く。同社では同様の技術ニーズ説明会を関東や九州で開催することも視野に入れているという。
(文=京都・園尾雅之)

日刊工業新聞社2016年11月1日

尾本 憲由

尾本 憲由
11月03日
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かつてパネルベイと称してディスプレー産業が大いに盛り上がった関西だが、いまや見る影もない。大手電機から薄型テレビ関連の仕事が途絶えてしまった中小企業も数知れず。その中で新たな“元請け企業”として台頭してきたのが日本電産。モーター専業の同社だが、協力企業がそろうとともに、いずれ総合電機になってしまうのでは・・

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