減益相次ぐも楽観論が目立つ電子部品各社。「サムスン発火」の影響軽微か

スマホ、中国向けへシフト進み円高を吸収

 電子部品6社が1日までに発表した2017年3月期連結決算業績予想は、スマートフォン向けを中心に堅調に売り上げを伸ばし、為替の円高によるマイナス影響を補う見通しだ。注目を集めた韓国サムスン電子のスマホ「ギャラクシーノート7」の発火問題の影響は、各社とも軽微にとどまっている。円高などが足かせになりながらも日本の電子部品各社が底力をみせている。

 村田製作所とアルプス電気が通期予想を下方修正する一方、TDKと日本電産は各利益段階で上方修正。ロームも営業利益と当期利益を引き上げた。各社とも円高が逆風となり苦戦を強いられたが、各品目では数量ベースで堅調に伸びている。

 村田製作所は円高で売上高が約576億円押し下げられ、主力の積層セラミックコンデンサー(MLCC)の売上高も落ち込んだ。ただ数量ベースでは増加しており、需要は依然として底堅い。特に「中国スマホメーカー向けは前年同期比で約2割増加」(村田恒夫社長)し、中国向け比率が高まっている。

 TDKも中国スマホ向けが堅調に推移している。加えてスマホ以外も好調だ。二次電池がドローン向けに伸びたほか、ハードディスク駆動装置(HDD)ヘッドも堅調で「収益のバランスが取れてきた」(石黒成直社長)。子会社がサムスン向けに電池を供給するが、業績への大きな影響はないとした。

 一方、京セラはスマホ向け有機パッケージの販売が落ち込み、コンデンサーの価格下落も響いた。ただ今後はサムスンによる新機種投入や他のスマホメーカーの攻勢などにより、部品需要が拡大すると分析する。

 アルプス電気はスマホ用カメラアクチュエーターなどの民生向けが前年同期比23・6%減となり苦戦。だが米アップル向けで受注増を見込んでおり「下期は数量ベースでカバーできる」(気賀洋一郎取締役)と期待を寄せる。

 日本電産はスマホ向けハプティック(触覚)デバイス用精密小型モーターが好調に推移。永守重信会長兼社長は「買収した海外企業の業績回復が本格化し円高をはね返した」と、車載も含め事業全体で拡大を続ける。ロームもスマホ向けが拡大し「業績の全体を押し上げた」(澤村諭社長)という。

 サムスン、アップルの大手2社への依存度は依然として高いながらも中国向けへのシフトが進んでいる。各社は顧客層の幅を広げることで堅調なスマホ向け需要を獲得し、円高の影響を打ち返している。

(文=京都・園尾雅之、渡辺光太)

日刊工業新聞2016年11月2日

尾本 憲由

尾本 憲由
11月02日
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少し前まで好業績を謳歌してきた日本の電子部品業界も、スマホ市場の低迷に円高が重なりさぞや青息吐息かと思いきや、何だか各社とも威勢が良い。ビジネスがグローバルに拡大している以上、確かに円高によって円換算の売上高は目減りしている。ただ足元の受注環境では楽観論が目立つ。再び日本のIT産業のけん引役となるか?

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