佐吉翁の命日に思う「近くて遠い、遠くて近いトヨタ」

スズキとの提携はどうなる?

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2年前の顕彰祭。左が豊田章一郎名誉会長、右から二人目が豊田章男社長
 「(静岡県)湖西市にはスズキもある。仲良く日本のためになるよう頑張っていきたい」。30日は湖西生まれでトヨタ自動車グループの創始者、豊田佐吉翁の命日。2年前の顕彰祭で、名誉会長の豊田章一郎さんはそう話した。

 あるいは、これも予兆だったのか。両社が提携協議をはじめた。本社が近く、創業家同士の親交も深いだけに「しかるべき場所に落ち着いた」と業界筋は冷静にみる。

 しかし海外メディアには「奇妙な提携会見」と映ったそうだ。具体策なしの提携をトヨタ社長の豊田章男さんは「仲間づくり」と表現。スズキ会長の鈴木修さんは資本提携について「せっかちな質問ですな。ゆっくり考える」と煙に巻いた。

 スズキにとってトヨタは近くて遠い存在。長年、軽自動車の覇権を争うダイハツ工業はトヨタの子会社だ。ただ米ゼネラル・モーターズ、独フォルクスワーゲンと2度の“結婚と離婚”を繰り返した鈴木さんも86歳。最後のパートナーに最も古いなじみを思い定めた。
発表資料には「章一郎トヨタ名誉会長にまず相談」という異例の文言。極めて日本的なアプローチで距離を縮めた両社が、これをどんな関係に発展させ、世界と戦っていくのか。しばし目が離せない。

(10月12日の会見。豊田章男トヨタ社長(左)と鈴木修スズキ会長)

日刊工業新聞2016年10月31日

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

章一郎さんと修会長はさまざまな思いを乗り越え、今、協力への「テンション」が合っているのだろう。先日の会見で、章男社長と修会長のツーショット。やはりこのツーショットには世代の違いを含めギャップを感じてしまう。章男社長は当日の会見で「スズキから開拓精神は学びたい。先進的な移動社会をどうつくるかで社会的な同意を含めて周囲を巻き込む力が今後重要になる。巻き込む力は鈴木会長から学ぶところが大きい」と話したが、本音の部分で章男社長はどうなんだろう。両社のテンションを合わせていくのは、今後、トップよりも実務者側の役割が大きくなる。

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