サイバーダイン、15年度は売上高58.5%増狙う

黒字化達成は遅れ気味。利益創出が課題に

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15年3月期業績と16年3月期予想
 サイバーダインの2016年3月期連結業績はロボットスーツ「ハル」をはじめとした製品ラインアップの拡充などにより売上高が前期比58.5%増の10億円となる見通しだ。経常損失は同3億円改善の6億円に圧縮される見込み。研究開発投資などにより赤字状態が続いているが、山海嘉之社長は「16年3月期が終われば(収支)のバランスがある程度とれる状態になる」としている。

 15年3月期は作業支援用ハルなど新製品で8800万円、子会社によるトレーニングサービス事業で7200万円の増収。16年3月期は搬送ロボ、清掃ロボ、バイタルセンサーなど他の新製品も業績を押し上げると予測する。

 同社は医療用ハルについて14年11月に米国食品医薬品局(FDA)への申請、15年3月に国内薬事法に基づく申請を実施。いずれも15年中に承認される予定だが、「本格的に収益に貢献するのは来期から。今期の業績予測には反映させていない」(コーポレート部門)としている。

 大林組が現場作業で重労働の負担を軽減する「腰用HAL」の実証導入を始め、オムロンと販促・サービス分野で基本合意を締結。5月12日には、福島県郡山市で進めているHALや医療機器などの生産拠点「次世代型多目的ロボット化生産拠点」の起工式を行うなど、活動の範囲を広げているサイバーダイン。しかし黒字化のめどは当初の予定よりも遅れている。拡販しつつも利益をどう稼いで行くかが課題となる。

(2015年05月18日 機械・ロボット・航空機1に一部加筆)

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上場時はストップ高も


装着型ロボット「HAL」を手がけるサイバーダインは2014年3月26日、東京証券取引所マザーズに株式を上場した。同日東証で会見した山海社長は「2015年3月期には売上高が14年3月期比3―4倍の約14億―18億円になり、黒字化する見込みだ」と明らかにした。達成すれば、設立以来初の黒字となる。調達資金をHALの量産や試作品の製品化などに投じ、売り上げを拡大する。

 HALは体を動かそうとする時に発生する微弱な生体電位信号を皮膚表面で検出して、装着者の動作を支援する。国内では主に福祉用として、欧州では脳神経系疾患の患者向けにリハビリ治療を行う医療機器として展開している。

 国内でも現在、医療機器承認に向けた治験を進めており「年末、もしくは年明け頃の医薬品医療機器総合機構(PMDA)申請を視野に入れる」。米食品医薬品局(FDA)にも申請書類を提出し、日米欧で医療機器として事業展開できる体制を整える。また不整脈や動脈硬化、脱水症状を検知するようなデバイスの市場投入を目指す。

 公募価格3700円に対し初値は8510円。一時、ストップ高の1万10円を付けた。終値は9600円。「会社のバリューを評価してもらえた。企業価値を高めて還元したい」と抱負を述べた。

日刊工業新聞2014年03月27日 総合3面

COMMENT

政年佐貴惠
名古屋支社編集部
記者

次世代ロボット産業として初の上場を遂げたサイバーダインへの注目は高い。一方で研究開発を始めとする投資の額が大きく、利益回収に至っていない。赤字幅は年々小さくなっているが、どう利益を生み出すのか。徐々にロボットの各所への普及が進んできた今、ビジネスモデルも含めて儲ける仕組みを構築することが必要だ。上場して最初の年度となった15年3月期は、当初の見込み値を下回った。16年3月期の計画値を達成することは、研究者気質の強い山海社長がビジネスマンとしての道を踏み出せるかどうかの試金石になりそうだ。

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