ルネサス、来年に「完全自動運転」対応の半導体をサンプル出荷

7nmの微細化で計算能力と低消費電力を両立。「レベル4」を後押し

 ルネサスエレクトロニクスは2017―18年にも、住宅街などの複雑な環境を認識できる高性能な車載機器向け次世代情報システムLSI(大規模集積回路)を製品化し、サンプル出荷を始める。少ない実装面積と高い計算能力、低消費電力を両立すべく、業界で最先端となる回路線幅7ナノメートル(ナノは10億分の1)、もしくは同10ナノメートルプロセスの採用を検討する。人工知能(AI)技術への対応も視野に、レベル4の完全自動運転の実現を後押しする。

 自動車メーカーは20―25年頃にレベル4の完全自動運転車の実用化を目指している。ルネサスは他社に先駆けて回路を微細化した先端品を投入し、成長する自動運転市場でシェアを伸ばす考えだ。

 自動運転では周辺環境の認識や動作を指示する半導体の処理能力が、技術進化のボトルネックになりつつある。同時に自動車に搭載される半導体の数は増えており、より少ない面積で膨大な情報を瞬時に処理する性能が求められている。

 現在、サンプル出荷している回路線幅16ナノメートルの車載用LSI「R―Car」の次世代品として開発を進める。量産開始は22年頃になると見られる。

 カメラやレーダーといったセンサーなどからの情報を、複合的に処理する。市街地での自動走行を視野に、歩行者や周囲の障害物の認識など、より複雑な情報処理を実現する。

 自動運転用の半導体では、米エヌビディアや米クアルコム、東芝などが事業を強化している。運転環境を判断するための大量のデータを処理できる性能や、駆動用のソフトウエアなどで開発競争が激しくなっている。

日刊工業新聞2016年10月26日

政年 佐貴惠

政年 佐貴惠
10月28日
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半導体業界ではクアルコムがNXPセミコンダクターズの買収を決め、車載分野での競争が一層激しくなりそうだ。ルネサスはマイコンからCPUまで一連のラインアップを持ち、先端品を先駆けて投入することで自動運転向けの競争力を確保する構え。基本的には独立の立場でやりたいとするが、この再編の波の中ではなかなか厳しくなりそうだ。

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