“第三のサプライヤー”が登場も。日産・三菱自シナジーの行方
共同購買はチャンスとなるか
「競争力のある企業にとって今回の提携は朗報。そうでない企業は朗報ではないかもしれない」。20日の会見で、日産自動車のカルロス・ゴーン社長はサプライヤーに対しこうメッセージを投げかけた。
日産と三菱自動車の提携によるシナジー戦略の目玉は、部品の共同購買による調達コストの削減だ。具体的な戦略として、プラットフォーム(車台)の共用が検討されている。ゴーン氏の発言から、将来的に日産と三菱自のサプライヤーはそれぞれ競争力の高い企業に集約される可能性が濃厚になった。
日産、三菱自の提携が正式決定した直後のサプライヤーの反応はさまざまだ。「長年かけて構築してきた三菱自との信頼関係がどう変わっていくのか見通せていないが、ビジネスチャンスが増える可能性を期待したい」。燃費不正問題で揺れた三菱自水島製作所(岡山県倉敷市)。サプライヤー団体、協同組合ウイングバレイ(同総社市)理事長を務め、そのサプライヤーの1社であるヒルタ工業(同笠岡市)の晝田眞三会長は不安と期待をにじませる。
「受注量が増加し、コスト競争力が高まる。今回の提携は我々にとってプラスに働くだろう」。日産と三菱自、両方と取引する外装部品メーカー首脳の声は明るい。部品の共通化が進めば量産効果によるコスト削減と利益アップが期待できるからだ。
一方、両社にエンジン部品を納めるサプライヤーは異なる見方を示し、「両社に同じような部品を供給していても車種や量で微妙に価格が異なる」と強調。「共同購買となれば、低い方の部品価格を調達の基準にするだろう」とし、従来より利幅が減るリスクを指摘する。
日産の傘下に入る三菱自と比べ、日産のサプライヤーの方が調達で優位に立つとの見方があるが、「車種によっては三菱自のサプライヤーのほうがコスト競争力が高い部品がある。日産にはだいぶ鍛えられてきたが、必ずしも手放しでは喜べない」。日産のみと取引する内装部品メーカー幹部は冷静だ。
また、ある中堅サプライヤーは「共同購買で部品の発注量が増えれば、大量生産を得意とする大手部品メーカーが参入してくる可能性がある」と指摘。“第3のプレーヤー”が加わることによるコスト競争の激化を予想する。
すでにサプライヤー間の戦いは始まっている。2018年末から三菱自水島製作所で生産を始める予定の次期軽自動車は日産が開発を主導しており、日産と三菱自のサプライヤーが水面下で受注獲得に向けた競争を繰り広げている。
「競争力をつけようと努力するサプライヤーはいつでも支援する」(ゴーン日産社長)。ルノー・日産連合と三菱自を合わせた年間販売台数は1000万台規模。競争力のある企業のみ、1000万台という巨大商圏への扉を開くカギを獲得できる。勝ち残るサプライヤーはどこか。大競争時代が始まった。
日産と三菱自動車の提携によるシナジー戦略の目玉は、部品の共同購買による調達コストの削減だ。具体的な戦略として、プラットフォーム(車台)の共用が検討されている。ゴーン氏の発言から、将来的に日産と三菱自のサプライヤーはそれぞれ競争力の高い企業に集約される可能性が濃厚になった。
日産、三菱自の提携が正式決定した直後のサプライヤーの反応はさまざまだ。「長年かけて構築してきた三菱自との信頼関係がどう変わっていくのか見通せていないが、ビジネスチャンスが増える可能性を期待したい」。燃費不正問題で揺れた三菱自水島製作所(岡山県倉敷市)。サプライヤー団体、協同組合ウイングバレイ(同総社市)理事長を務め、そのサプライヤーの1社であるヒルタ工業(同笠岡市)の晝田眞三会長は不安と期待をにじませる。
「受注量が増加し、コスト競争力が高まる。今回の提携は我々にとってプラスに働くだろう」。日産と三菱自、両方と取引する外装部品メーカー首脳の声は明るい。部品の共通化が進めば量産効果によるコスト削減と利益アップが期待できるからだ。
一方、両社にエンジン部品を納めるサプライヤーは異なる見方を示し、「両社に同じような部品を供給していても車種や量で微妙に価格が異なる」と強調。「共同購買となれば、低い方の部品価格を調達の基準にするだろう」とし、従来より利幅が減るリスクを指摘する。
日産の傘下に入る三菱自と比べ、日産のサプライヤーの方が調達で優位に立つとの見方があるが、「車種によっては三菱自のサプライヤーのほうがコスト競争力が高い部品がある。日産にはだいぶ鍛えられてきたが、必ずしも手放しでは喜べない」。日産のみと取引する内装部品メーカー幹部は冷静だ。
また、ある中堅サプライヤーは「共同購買で部品の発注量が増えれば、大量生産を得意とする大手部品メーカーが参入してくる可能性がある」と指摘。“第3のプレーヤー”が加わることによるコスト競争の激化を予想する。
すでにサプライヤー間の戦いは始まっている。2018年末から三菱自水島製作所で生産を始める予定の次期軽自動車は日産が開発を主導しており、日産と三菱自のサプライヤーが水面下で受注獲得に向けた競争を繰り広げている。
「競争力をつけようと努力するサプライヤーはいつでも支援する」(ゴーン日産社長)。ルノー・日産連合と三菱自を合わせた年間販売台数は1000万台規模。競争力のある企業のみ、1000万台という巨大商圏への扉を開くカギを獲得できる。勝ち残るサプライヤーはどこか。大競争時代が始まった。
日刊工業新聞2016年10月25日