シリコンからGaNへ。三菱電機、高周波デバイスで基地局需要狙う

海外勢は次世代パワーデバイスでM&A。あまり買収しない三菱は?

 三菱電機は化合物半導体の窒化ガリウム(GaN)を使った高周波デバイスの本格販売に乗り出す。主流のシリコン(Si)半導体に比べて高効率・高出力といった点を訴求し、2017年中に携帯電話の基地局向けで採用を目指す。高速通信に伴う周波数の広帯域化により、基地局向けのニーズが拡大している。こうした需要を取り込むことで、高周波・光デバイス事業における基地局向けGaNデバイスの売上比率を20年に1割以上に引き上げる。

 高周波デバイスは無線通信インフラに使われ、主に信号を増幅する目的で使われる。現在、通信の高速・大容量化に伴い、周波数帯を従来の2ギガヘルツ(ギガは10億)から3・5ギガヘルツにする動きが出ている。より高電圧で動作し、高出力を出せるGaNデバイスの需要が拡大するとみられている。

 三菱電機のGaN高周波デバイスは低消費電力で駆動し、増幅器を小型化できるのが特徴だ。すでに商業利用に向けた試用を始めている。

 まずは、日本での商業利用を目指す。同時に海外市場での提案にも着手し、中国や韓国、欧州を中心に採用を狙う。市場の開拓に向けて、グループの各販売会社に在籍するGaNデバイスの営業部隊を定期的に増員する。

 高周波デバイス市場は20年頃からの実用化が見込まれる第5世代通信(5G)に向け、携帯電話基地局からの需要が拡大するとみられる。同基地局で使われる高周波デバイスは、現在約9割をシリコン半導体が占めている。

 同社のGaNデバイスはこれまで衛星通信向けを中心に展開してきた。携帯電話基地局向けでは後発だが、今後成長する市場に参入することで事業の拡大を図る。

 製品拡充も進め、通信の高速・大容量化を追い風にGaNデバイスの導入を進める考えだ。

日刊工業新聞2016年10月25日

政年 佐貴惠

政年 佐貴惠
10月25日
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次世代パワーデバイスの実用化が進展してきた。これを加速するのに必要なのは、材料コストの低減だ。結晶成長技術や加工技術などがカギになる。独インフィニオンはSiCやGaNウエハーの製造技術を有する米ウルフスピードを買収した。競争力強化に向けて半導体メーカーが材料ノウハウを持つ企業と提携・買収する流れは、今後も大きくなりそうだ。

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