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三菱重工会長「日本の航空産業は大きく伸びる余地がある」

経産省局長「MRJは後戻りできない」
三菱重工会長「日本の航空産業は大きく伸びる余地がある」

三菱重工の大宮会長

 東京・有明で10月12日から15日まで開催中された「2016年国際航空宇宙展」で、経済産業省製造産業局の糟谷敏秀局長と、一般社団法人・日本航空宇宙工業会(SJAC)で顧問を務める三菱重工業の大宮英明会長が講演し、日本の航空業界の発展に高い期待感を寄せた。

 2014年の産業別出荷額によると、国内の航空機産業は1兆9000億円。自動車は53兆3000億円で、およそ30分の1の規模となっている。また、各国の航空機産業規模と比較すると、米国が22兆1000億円、フランスが6兆9000億円、英国が5兆1000億円。日本は米国の12分の1、欧州各国の3分の1の規模にとどまる。

 大宮会長は「先進国と比較し、日本の航空産業は規模が小さい」としながらも「大きく伸びる余地がある」と述べ、高い期待感を示した。

 また、航空産業は長期間にわたる膨大な資金や、高い信頼性を保持する技術力などの「参入障壁の高さ」がある一方、最先端の部品や先進的な製造・組立技術、全体をシステムとしてコントロールする制御技術など、製造業の頂点に位置する「付加価値の高さ」がある。

 大宮会長は「部品や素材には厳しい技術が求められ、部品や素材産業の高度化を通じ、自動車などほかの産業にも技術波及する」と述べ、日本の製造業全体が発展するとした。

 糟谷局長は、日本の航空産業規模について「年約5%で成長している。2030年には3兆円を超える」とし、「拡大できる成長産業だ」と見通しを述べた。

 また、開発中の国産ジェット旅客機「MRJ」について、大宮会長は開発状況を説明。9月の米国へのフェリーフライトなどを紹介した。

 MRJはこれまでに、全日本空輸(ANA)などを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD)や日本航空(JAL)など、7社から計427機(確定受注233機、オプション170機、購入権24機)を受注している。

 「納入前にこれだけの受注をいただいた。日本の技術と期待の高さを感じている」と大宮会長は語り、「必ず成功させる」と意気込みを示した。

 MRJは半民半官の航空機メーカー、日本航空機製造によるターボプロップ機YS-11型機以来およそ50年ぶりの国産旅客機となる。糟谷局長は「後戻りや足踏みはできない」と語った。
吉川忠行
吉川忠行 Yoshikawa Tadayuki Aviation Wire 編集長
三菱重工の大宮会長が、MRJや航空機産業について講演しました。

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