総合スーパー業績不振、消費者は何を期待し何を望む?

大手3社、撤退ラッシュも復活への道筋を模索

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魅力ある商品提供ができるか(イオンが9月下旬に改装オープンしたイオンスタイル東戸塚店)
 流通大手3社のイオン、セブン&アイ・ホールディングス(HD)、ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)に共通する悩みが総合スーパーマーケット(GMS)の業績不振だ。事業環境の変化への対応が遅れ、商品などに消費者ニーズとの隔たりが生じている。各社は地域に合わせた店舗づくりやテナント導入で、生き残りを図る考えだ。

 セブン&アイ・HD傘下のイトーヨーカ堂(東京都千代田区)は、2017年2月期に110億円の営業赤字を見込む。20年2月期までに、計40店舗を閉じる予定だ。ショッピングセンター(SC)化やテナントミックス型、食品スーパーへの転換も図る。

 店舗運営のみでの収益向上は難しいと見ており、井阪隆一セブン&アイ・HD社長は「マンションや託児所と食品スーパーを組み合わせるなどの不動産再開発をする」と話す。イトーヨーカ堂の亀井淳社長は16年5月まで、セブン&アイ・HD傘下でSCを運営するモール・エスシー開発(東京都千代田区)の会長だった。その経験も生かすと見られる。

 ユニー・ファミマHD傘下のユニー(愛知県稲沢市)は、16年3月から19年2月末までに計36店舗を閉じる方針を掲げている。佐古則男ユニー社長(ユニー・ファミマHD副社長)は「昨今、GMSについていろんな批判を頂いている」と話す。

 中部・関東圏へのドミナント(地域支配)を生かした地域ごとの品ぞろえや、総菜強化などで来店を促す。単身者や二人世帯などをターゲットにした、少人数で運営する実験店舗も18年2月末までに設ける予定だ。

 イトーヨーカ堂、ユニーに対し、イオンは“閉めない改革”を進めている。地域特性に合わせ、子育て世代などに対応した「イオンスタイル」への大規模改装を進めてきた。しかし、岡崎双一執行役GMS事業担当は「売り上げを伸ばせなかった。価値訴求に力を入れ、価格(競争力)でのインパクトが弱かった」と反省する。16年3―8月期のGMS事業の営業赤字は183億円で、赤字幅は前年同期比96億円拡大した。

 特に深刻なのが衣料品の不振だ。GMSなどで組織する日本チェーンストア協会のまとめでは、15年の衣料品売上高は20年前と比べ3分の1に縮小した。

 専門店やインターネット通信販売で特色ある衣料や安価な商品が手軽に買えるようになり、GMSが扱う衣料品の訴求力は低下している。しかし、粗利益率が高い衣料品を捨てきれない。井阪セブン&アイ・HD社長はGMSの衣料品について、売り場面積は今後4年間で2割程度縮小する考えを示したものの、「撤退は考えていない」と断言する。

 岡崎イオン執行役は「GMSの強みは『館(やかた)』の集客を生かした単品の販売力。これを復活させたい」と語る。伸縮性の高いスーツや防寒インナーなどを「強力なコアアイテム」として売り込む考えだ。

 3社ともGMS事業を止める予定はない。商品を並べるだけでは売れない状況下、特徴ある店舗や商品の構築で、復活への道筋を模索している。

日刊工業新聞2016年10月20日

COMMENT

総合スーパー(GMS)は総合を問い直す局面が続いています。ただ、総合的な品ぞろえがだめな訳ではなさそうです。米国でも総合的な品ぞろえで伸びているスーパーは少なくありませんし、国内ではホームセンターなどでも店舗を大型化して総合化を図っています。「安さ」「品ぞろえ」「利便性」?消費者はGMSに何を期待し何を望んでいるのでしょうか。ネット通販の拡大などもあり店舗の役割や機能などを問い直す作業は続きそうです。

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