三菱ケミカルグループがベンチャー買収。再生医療研究の出口戦略モデルになるか

「ミューズ細胞」のクリオを子会社化。心筋梗塞手術後の機能修復の実用化急ぐ

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ヒト3次元培養皮膚を利用した研究・開発用キット
 三菱ケミカルホールディングス(HD)傘下の生命科学インスティテュートは14日、多能性幹細胞「Muse(ミューズ)細胞」の独占的使用権を持つ再生医療開発ベンチャーのクリオ(秋田市)を買収すると発表した。買収額は数十億円。6月1日までに全株式を取得し、連結子会社化する。急性心筋梗塞手術後の機能修復向けに16年度中に臨床試験を始め、20年度に販売を開始。25年度に売上高100億円を目指す。

 クリオは09年設立で資本金は4億2000万円。社員数23人。Muse細胞製剤の製造法をほぼ確立し、実用化を目指して非臨床研究を行っている。今後、生命科学インスティテュートから社長を送り込む。

 Muse細胞は皮膚や骨髄などにあり、神経や脂肪などのいくつかの細胞に分化できる。心筋梗塞など組織に障害を持った患者の静脈内に点滴投与すると、血管を通じて心筋梗塞部位に集積して自ら心筋や血管に分化。心臓の組織が修復され機能が回復するとされる。
(日刊工業新聞2015年05月15日 素材・ヘルスケア・環境面)

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 東北大学の出澤真理教授やクリオ(秋田市)などの研究グループは、ヒトの生体内でさまざまな細胞に分化する多能性幹細胞「ミューズ細胞」を利用し、3次元の培養皮膚を製造する技術を確立した。クリオが持つ特許をDSファーマバイオメディカル(大阪府吹田市)に使用を許諾した上でキットを開発、2015年1月に発売する。ミューズ細胞を利用した製品は初めて。医薬品や化粧品の選別検査用途で製薬企業や化粧品メーカーなどに採用を提案する。価格は数十万円を見込む。医薬品の開発には1種類につき500億円程度かかるとされており、ヒトに近い安全性試験でコストを減らせる。

 ヒトの線維芽細胞の中にあるミューズ細胞だけを単離。約10種類の因子をミューズ細胞に導入してシャーレ上で6週間培養し、紫外線による皮膚の障害などを抑えるメラニンを作り出す細胞を作製。同細胞を利用し、ヒトの皮膚に近い3次元の培養皮膚を作った。

 出澤教授らは10年にヒトの皮膚の線維芽細胞から、神経や脂肪などの細胞に分化できるミューズ細胞を発見した。ミューズ細胞は線維芽細胞の中に数%含まれる。

日刊工業新聞2014年12月12日 科学技術・大学面

COMMENT

明豊
デジタルメディア局
局長

医療やヘルスケア分野の開発は時間がかかるし、ベンチャーもIPOは難しい。海外に出ていかれる前に日本の大手企業はある程度のリスクを覚悟でM&Aに乗り出して欲しい。

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