「ゴーン・益子」蜜月のなぜ?

早技の資本提携に信頼とホットライン。社長続投で問われる経営者の覚悟

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三菱自の会長に就任する日産のゴーン社長(左)と社長続投が決まった三菱自の益子会長兼社長
 三菱自動車を事実上傘下に収めた日産自動車。三菱自の会長に就くカルロス・ゴーン日産社長は、辞意を固めていた益子修会長兼社長へ社長を慰留する異例の事態となった。両者の蜜月はどうして生まれたのか。

 「ゴーン氏が益子氏留任に固執する気持ちは分かる」(三菱自幹部)、「不正発覚後の益子氏の功績は大きい。ゴーン氏は信頼を寄せている」(日産幹部)。ゴーン氏―益子氏のホットラインは両社内でも広く知られている。ゴーン氏の益子社長留任要請は両トップの親密さを物語る。

 日産と三菱自が急接近したのは2010年。共同会見に臨んだ両者は軽自動車の協業を柱とする提携拡大を発表、「ウイン―ウインの関係」を強調した。後に両社の提携関係は仏ルノーにも広がった。今回の燃費不正発覚後、わずか3週間で資本提携の合意にこぎ着けたのも日産ナンバー2の西川廣人副会長を含めゴーン氏と益子氏の連携プレーがあった。

 「ゴーンさんが再建に情熱を持って接してくれた。次期中期計画の道筋をつけることも経営責任の取り方と考え方を改めた」。益子氏は会見でこう話した。社長続投が決まった益子氏の胸中は複雑だった。

 益子氏が三菱商事から三菱自に送り込まれたのは04年。リコール隠し問題で経営危機に瀕していた三菱自の再建を託された。14年に経営の足かせとなっていた「優先株問題」を処理し、生え抜きの相川哲郎前社長による新体制で再建に道筋をつけた頃、同業他社首脳に辞意を漏らしている。だが「(三菱商事など主要株主の)三菱グループから慰留された」(同業他社首脳)といい、指揮を続けた。

 今回の不正発覚後も再発防止と日産との資本提携に道筋をつけ次第、辞任する意向を周囲に漏らしていた。だが、ゴーン氏としては「留任は重大な条件だった」。主要株主を代えての度重なる慰留となった。それを受け入れたからには、改めて経営者としての覚悟が求められている。

 「益子氏が留任したところで世間は納得してくれるのか」。三菱自幹部はこう吐露する。一連の不正行為は益子修会長兼社長が経営トップを務めていた時期に行われた。経営責任を明確にしないまま益子氏が続投することで消費者の反発を招く恐れもある。

日刊工業新聞2016年10月21日「深層断面」から抜粋

COMMENT

明豊
デジタルメディア局
執行役員 DX担当

益子さんの代わりがいなかったこともある。日産もそうだがゴーンさんが「うん」と言わなければ何も事が進まない。3社のトップを事実上務めることが、物理的に意思決定に時間がかかってしまうのではないか、と危惧する。

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ゴーン 益子 三菱自

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