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中四国クラブ選手権で準優勝!課題は投手層

社会人野球チーム「福山ローズファイターズ」の菅田理事長が発足初年度を総括
中四国クラブ選手権で準優勝!課題は投手層

「福山ローズファイターズ」理事長を務める、菅田雅夫ホーコス社長

 「中四国のクラブ選手権では準優勝だった。初年度としては良かったのでは」と胸を張るのは、ホーコス(広島県福山市)社長の菅田雅夫さん。社会人野球の新クラブチーム「福山ローズファイターズ」の理事長を務める。

 「大会になると投手が5人は必要だが3人しかいない」と課題を認識するが、「普段は仕事をする選手が所属する職場は結束力が高まった」と実感。

 「取引先で少年野球に携わっている人がいれば親近感をもってもらえる」とも。自社所属の選手もいるだけに、今後の商談での“ホームラン”に期待?

野球と仕事、両方の「場」を提供


 4月、広島県福山市に社会人野球のクラブチーム「福山ローズファイターズ」が発足する。地元企業10社が立ち上げた民間非営利団体(NPO)の「福山スポーツ雇用サポートセンター」が運営する。選手は10社のいずれかの企業で正社員として働き、野球引退後も退社することなくその企業で働けるのが特徴だ。同センターの菅田雅夫理事長(ホーコス社長)に、発足の意図などを聞いた。

 ―なぜ社会人野球のクラブチームを発足するのですか。

 「甲子園を目指した球児は大学でも野球を続け、プロを夢見る。高校卒業後、運良く強豪野球部のある大手企業に就職した人もプロ入団を目指す。しかし現実は甘くない。特に大手に野球入社した中には野球を辞める時に、会社も辞めざるを得ない人がいる。ずっと野球中心の生活で、社会人相応の仕事のスキルをつけていないために会社に残れないのが理由だろう」

 ―野球も仕事も辞めざるを得ないというのは残念です。

 「こうした境遇の人はかなりいる。10社の中にも同じ経験をした社長がいる。長年、野球を続けてきた人は根性もあるし、礼儀正しい。このような人たちは環境さえ整えば、真面目に仕事もする。企業として野球ができる場と雇用の場を同時に提供することで、企業も社員も幸せになれる」

 ―具体的にどのような活動を展開していきますか。

 「選手は各企業で定時まで働く。その後18時から週に2―3回、福山市内の野球場で練習する。監督も招へいし、練習試合も実施する。都市対抗野球の予選などにも出る予定だ」

 ―クラブチームに入るにはどうすれば良いですか。

 「まずは入団テストに合格しないといけない。受験に年齢制限はない。合格者は各企業を訪問する。昨年末から採用試験も始まっており、わが社(ホーコス)には2人が入社する予定だ」

 ―同サポートセンターの今後の予定は。

 「運営を支持してくれる賛助会員企業のほか、市民サポーターを募る。先日、飲料販売会社の協力を得て、売上金の一部が運営資金にまわる自動販売機も設置した。将来は野球だけでなく、バスケットやバレーボールなどのクラブチーム発足も検討したい」
日刊工業新聞2016年10月20日、同年2月9日の記事を基に再構成
斉藤陽一
斉藤陽一 Saito Yoichi 編集局第一産業部 デスク
 記事後半のインタビューはチーム発足を間近に控えた今年2月に福山支局長が直撃インタビューした内容です。久しぶりにチームのホームページをのぞいてみたら、「ドラッキー」なるコウモリのマスコットキャラクターが誕生していたり、応援歌も完成していたり(同HPで試聴可能)と、いろいろ進んでおり驚きました。

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