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軸受大手3社の業績から見える本当に好調な業種とは?

日本精工は15年度に初の売上高1兆円の大台へ。風力向けの受注好調もスマホは不透明
軸受大手3社の業績から見える本当に好調な業種とは?

日本精工の大型ギアボックス用「長寿命大形ころ軸受

 軸受大手3社の2016年3月期は前期大きく成長した自動車向けを中心に、引き続き堅調な伸びが期待できそうだ。好調な北米、中国向けは新車種立ち上げなどにより高水準の受注が続く見通し。各社は電動パワーステアリング(EPS)、軸受などについて、さらなる拡販を視野に入れる。一方、産業機械向けは着実に回復が進むものの、ユーザー業界間でバラつきがある。風力発電、鉄道向けは良好な受注環境が続きそうだ。また、小型工作機械向けの軸受やボールネジなど、スマートフォン関連の需要動向も注目される。
 
 日本精工は16年3月期に連結売上高で初めて1兆円の大台に到達する見通しだ。15年3月期に過去最高業績を記録した自動車事業の受注が高水準を維持すると予測。米国は金利引き上げの影響、中国は経済成長鈍化などを懸念するものの「(両地域とも)新車種の立ち上げがあり、売り上げに大きく寄与する」(同社幹部)と期待する。

 ジェイテクトも自動車関連のさらなる需要拡大を見込む。「日系車メーカーによる米州、中国での投資拡大は好材料。こうした動きに追随していく」(同社広報部)方針。年末にはメキシコ工場の稼働開始も控える。EPSについては主力のコラム式に続き14年7月からピニオン式の中国生産を開始。こうした新商材も「今期から本格的に増収に貢献する」(同)としている。

 NTNは好調な自動車や風力市場を背景とした販売拡大と利益率の高い補修市場強化で、16年3月期に売上高と全利益項目で過去最高を狙う。売上高では3期連続の過去最高更新になる見通しだ。自動車関連では中国で新規案件を確保。大久保博司社長は「ここ数年、償却範囲内に抑えていた投資も攻めに転じる」とし、前期比約2倍となる500億円の投資計画を推進する。

 産業機械向けは3社とも風力発電設備用軸受の好調さが目立つ。特に一大需要地の中国では、洋上発電の買い取り価格引き下げを前にした建設ラッシュが追い風。15年6月とされていた引き下げ時期が延期されることも影響し、各社の受注環境は良好な状態を保つ。

 他方で依然動きが乏しいのは建設機械や鉄鋼。「なかなか明るい兆しが出てこない」(業界関係者)のが現状だ。15年3月期はスマホの生産で使われる小型工作機械向けの部品需要も各社の業績を押し上げた。

 ただ、16年3月期の見通しについては「上期はそこそこだが、下期は去年ほどの水準に届かないかもしれない」(業界関係者)といった声も聞かれ、各社の受注目標は控えめだ。それでも、中国スマホメーカーの台頭などにより業界構造は複雑化しており、需要予測は従来以上に困難。15年3月期のように、期を追うごとに上振れする可能性も否定できない。
日刊工業新聞2015年05月14日 機械・ロボット・航空機面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
軸受の用途は多岐に渡り景気の先行指標。ここ1、2年の絶好調から今年度は安定成長という感じだろう。やはり中国次第ということか。

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