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“パナソニック教授”誕生へ。ロボットやAIで「客員研究員制度」導入

オープンイノベーションで研究開発に新たな刺激狙う
“パナソニック教授”誕生へ。ロボットやAIで「客員研究員制度」導入

外部の知見を活用(パナソニックのオープンイノベーション施設)

 パナソニックは外部の研究者との連携を促進するため2017年度に「客員研究員制度」を導入する。人工知能(AI)やロボット関連などの分野を中心に、大学や研究所、ベンチャー企業の技術者を自社の研究員として迎え入れる。本来の専門性を維持しつつ、パナソニック側の立場で研究できる人材とする。ITや電機、自動車などの企業では、AIなど先端技術を中心に社外の人材を活用する動きが活発になっている。

 研究員を客員として迎え入れる日本企業は珍しい。客員研究員の就任期間、給与支払いの有無、給与金額は、迎え入れる研究員ごとにケース・バイ・ケースで決定する。

 現在、複数の人選を進めており、近く最終調整する計画だ。よりパナソニック側に入り込んだ立場から研究開発に携わってもらい、内部とは違う視点からの意見を取り込む。

 AIやロボット関連などの分野では、外部の知見を活用して迅速に研究開発を進めるオープンイノベーションが活発になっている。パナソニックも4月にオープンイノベーション施設を東京と大阪に開設。社内外の共創を促すコミュニケーションの場として機能させ、研究開発に新たな風を吹き込むことを狙っている。

 外部と連携して研究開発する際にも、パナソニック側の人材だけでテーマ設定について話し合うと、課題意識が似通うために挑戦的な目標やテーマを設定しにくい。客員研究員に加わってもらうことで「しがらみのない外部の力を借りれば、常識を打ち破って本質的な議論が始められるのでは」(関係者)とみている。
日刊工業新聞2016年10月20日
原直史
原直史 Hara Naofumi
現在、公的研究機関の仕事にも関与しているが、企業や大学との人材交流について、大変熱心で、制度の違いなどにも柔軟に対応し始めている。 企業側から見ると、垣根が高いように見えるかも知れないが、以前とは明らかに異なってきており、協力する機関は少なくないはずだ。 パナソニックのような代表的日本企業がこのような動きを始めることは、人材交流を促進している公的研究機関や大学にも大きな支援となる。他社にも広まり、産学官共同が進展することを期待したい。

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