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節電ビジネス「DR」はマンションに普及するか!?

京セラと東急コミュニティーが大阪で実証
 京セラは東急コミュニティー(東京都世田谷区)と共同で、電力が不足しそうな時に需要家に節電を要請して需給を調整するデマンドレスポンス(需要応答、DR)をマンション向けに実証した。節電要請を自動化する標準通信規格を使ったマンション向けDRは初めてとみられる。京セラはスーパーマーケット向けの自動DRに成功しており、将来の節電ビジネスの事業化につなげる。東急コミュニティーはDRによる節電効果を確認できれば、電力料金引き下げを入居者に訴求する。

 東急コミュニティーが管理会社となっている大阪府内のファミリー向けマンション(80戸以上)で自動DRを実証した。電力需要が増える夕方から夜の時間帯に計5回DRを要請。入居者にはエアコンや照明など家電製品の使用を控えたり、外出を促したりした。

 早稲田大学にあるサーバーを電力会社と見立て、DRの要請信号を発信。その信号を京セラのサーバが受信し、マンション入居者に節電要請メールを自動送信した。早大と京セラの間は標準通信規格「オープンADR2・0b」で信号のやりとりをした。

 東急コミュニティーは住民のDRへの参加意欲を探るため、節電量に応じて1キロワット時当たり8円と5円の二つの割引料金を設定。節電を要請する前日、1時間前、DR実施中の3回メールを発信して参加を促した。今後、DRによる電力削減量を精査し、実際の効果を確認する。

 東急コミュニティーはDRで電力料金が下がれば、マンション管理組合や入居者への付加価値になると見込む。京セラはDRを新規ビジネスとして検討しており、スーパーや社員宅1戸でオープンADR2・0bによる自動DRを実証。要請からエアコン、蓄電池の運転変更までのすべての自動化にも初めて成功している。

日刊工業新聞2015年03月24日 建設・エネルギー・生活面
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
デマンドレスポンスでどれだけ電力を削減できたのか。これまでの実証では削減効果をきっちりと測定できなかったようです。デマンドレスポンスがなかった場合の使用量(ベースライン)の設定が難しく、本当にデマンドレスポンスによる削減なのかどうかの判定にはルールが必要そうです

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