大日本印刷やスズキも参加したハッカソン「FUJI HACK」とは

富士通が抱える3万人のSEにオープンイノベーション魂を

 富士通は共創型のオープンイノベーション活動として、このほど社内外の参加者約100人がアイデアや開発成果を競うハッカソン「FUJI HACK(フジハック)2016」を開催した。テーマは「従来産業をDisrupt(破壊)するデジタルビジネスを生み出せ!」。富士通のシステムエンジニア(SE)らに加え、異業種や地域企業からの参加者が1週間にわたる熱い戦いを繰り広げた。

 フジハックは年次イベントとして3回目を迎えた。具体的には全体を20―30人ずつにグループ分けして、それぞれ3―4人構成のチームを組織。富士通ソリューションスクエア(東京都大田区)内にあるイノベーション空間「PLY=プライ」において、4グループが2日間にわたってアイデアを出し合う「アイデアソン」を実施した。上位の優秀チームは12月初旬に開催される富士通SE部隊の最大イベント「SSコンベンション」への出場権を獲得した。

「業種が違えば発想も違う」


 フジハックの顔ぶれの大半は富士通グループが占めたが、最終回は約3分の1の8人が異業種からの参加者だった。「当社でも共創型の取り組みを始めたいと思って参加した」とは大日本印刷の越智由香子さん。役職はコーポレートブランディング企画開発部長。「業種が違えば発想も違うことが実感でき、おもしろかった」と感想を語る。
 
 蒲田の地元企業からは3Dプリンターを製造・販売するスマイルリンク(東京都大田区)が参加した。社長の大林万利子さんは「異業種交流に多数参加しているが、IT系は伸び伸びとしていて新鮮だ」と、メカ系が中心の大田区の交流会との違いを強調。「今回の経験を大田区の町工場にも生かしたい」と語る。

 異色の顔ぶれとしてスズキから、ITシステム部の若手2人も参加した。戸塚卓弥氏は「通常は検討してから手を動かすが、限られた時間(2日間)で成果を出すには考えていては間に合わないことを体感した」とハッカソン初体験に満足げ。

 入社2年目の三根なつこさんは「ブレーンストーミングでいろいろな方法を使っていることが分かった。ここで得たことを上司に伝えたい」と手応え十分といった様子だ。それぞれが自分の立ち位置で、何かをつかみ取っていることがうかがえた。

先頭走る“ハッカソン戦士”


 審査員の顔ぶれも多彩。最終回はサイバーエージェント・クラウドファンディング(東京都渋谷区)の木内文昭取締役と、遠藤明富士通特命顧問が担当。木内氏は「クラウドファンディングはハッカソンの出口として使われることが多い」とビジネスでの相乗効果にも期待を込める。

 一方、遠藤氏は「社内でもテーマに沿って、部門を超えて議論することはあるが、どう稼ぐかが先立ってしまう」と指摘。これに対して「ハッカソンは発想の訓練の場であり、新しい領域での乱取りのようなもの。今回は発想のおもしろさで採点した」と総評した。

 フジハックの旗揚げは3年前。受託開発に慣れ親しんできたSEのスキルを転換し、オープンイノベーションを実践できる人材を育成するのが狙いだ。「他流試合」と称して富士通以外のハッカソンにも参加してノウハウに磨きをかけている。

 「週末の休みには何らかの大会に参加している」と語るのは、富士通イノベーティブソリューション事業本部情報利活用サービスセンター所属の宇都宮綱紀氏。宇都宮氏は“ハッカソン戦士”として社内外で活躍し、あるべき人材像の先頭を走っている。

 富士通の国内SEは3万人の大所帯。フジハックやPLYを起点とする草の根の活動を通じ、大規模な組織にオープンイノベーションをどう根付かせるか注目される。

日刊工業新聞2016年9月27日

明 豊

明 豊
10月20日
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基本的にSEはドメスティックな仕事。村田製作所がイスラエルでIoTのハッカソンをする時代。「発想の訓練の場」で終わってしまってはもったいない。

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