スマホ部品の実力企業、太陽誘電が「0201」で王者・村田製作所に挑戦状!
世界最小サイズの積層セラミックコンデンサーで製造受託サービス。ウエアラブル市場狙う
太陽誘電は世界最小サイズの積層セラミックコンデンサー(MLCC=用語参照)「0201」を使った電子機器製造受託サービス(EMS)事業を年内に始める。0201は実用化の初期段階にあり、実装工程に高度な技術が必要。EMSにより高機能化が進展するスマートフォンのほか、ウエアラブル端末など0201を使った新しい電子機器の製品開発・普及を後押しする。現状、0201を量産できるのは世界で太陽誘電と村田製作所の2社のみ。0201の分野で部品業界での競争力を一段と高める狙いもある。
0201は大きさが縦0・25ミリ×横0・125ミリメートルと超小型のMLCC。太陽誘電の子会社でEMS事業を展開する赤城電子(群馬県高崎市)が0201の基板実装を担い生産設備や試験装置などを設ける。すでに0201を正確に基板に配置する技術は完成しており、今後はハンダ印刷や回路設計技術を実証して基板実装技術を確立。0201を使ったEMS事業を開始する。17年3月期に同事業の売上高を現状比1・5倍にする。
MLCCはスマホの中核部品で、近年は1台当たりに搭載される部品点数が増えていることを背景に小型化が進む。現状「0603」(縦0・6ミリ×横0・3ミリメートル)が主流だが、これより一回り小さい0402(縦0・4ミリ×横0・2ミリメートル)を搭載する機種が出始めている。0201は0402よりも実装面積ベースで半分以上小さい次世代品だ。
0201を巡っては業界で太陽誘電と村田製作所が昨年秋までにそれぞれ月3000万個で量産できる体制を整えた。太陽誘電はEMS事業により、スマホだけでなく、ウエアラブル端末などを手がけるメーカーからの受注獲得を狙う。先端品の0201を使うことでデザインや機能面で製品を差別化できる点や、設備投資などの費用負担を軽減できる点を訴求する。
太陽誘電は売上高の約5割をMLCCが占める。スマホ向けを中心とした需要拡大に合わせて約100億円を投じて新潟県に新工場を建設する計画を掲げている。
【用語】積層セラミックコンデンサー(MLCC)=一時的に電気を蓄える機能を持つ電子部品。高機能スマートフォンでは1台当たり600個―700個搭載されている。日系では世界シェア首位の村田製作所のほか、太陽誘電、TDKが、海外では韓国サムスン電子傘下のサムスン電機(セムコ)が手がける。
(日刊工業新聞2015年05月15日1面)
<関連記事> 王者・村田製作所の強さ
積層セラミックコンデンサー(MLCC)業界で村田製作所の強さが際立っている。業界で先頭を切って市場投入した最小サイズの0201品(0.25ミリ×0.125ミリメートル)の商品搭載も年内には始まる。2015年3月期は初の売上高1兆円超えを見込むが、スマートフォン向け小型大容量品は好調そのもの。追加投資にも踏み切っており、ライバルの引き離しに掛かっている。
「MLCCの小型大容量品は年間15%の増産となる」。1月末に15年3月期の設備投資100億円上積みを公表した際、藤田能孝副社長はこう説明した。主だったスマホメーカーへ食い込む同社では、各社の15年モデルで開発段階から採用される“デザインイン”も済まし、「売上高はさらに10―15%は伸ばせる」(藤田副社長)状況だ。
高機能スマホでは1台当たり500―700個のMLCCが必要だ。現在は0603品(0・6ミリ×0・3ミリメートル)が主流だが、一回り小さい0402品(0・4ミリ×0・2ミリメートル)がパワーアンプやカメラモジュールなど実装スペースが限られるところから普及。最近では「メーンのところにも入り始めてきた」(大森長門第1コンデンサ事業部技術開発統括部統括部長)。
MLCCで同社シェアは35%だが、0402品など最先端品ではさらに上回り、業界を圧倒的にリード。この数年で業界2位に躍り出た韓国サムスン電子傘下のサムスン電機(セムコ)も、「0402の主戦場ではあまりぶつからない」(同)という。
さらに、次の世代となるのが0201品だ。実際に普及期に入るのはまだ先だが、同社は実装機メーカーやハンダメーカーとも協業し、既存のMLCCと同水準の実装性を確立。ユーザーの採用にもめどが立ち、「すでに量産手前の評価段階にある」(同)。0201品では太陽誘電もほぼ同時期に量産体制を整えているが、「静電容量や信頼性、歩留まりなどでリードできる」と大森統括部長は自信を示す。
村田製作所のMLCCは、90年代に小型ホームビデオなどの要求に応えて1005品(1・0ミリ×0・5ミリメートル)でリード。その後も0603品、0402品と常に先陣を切ってきた。そのためか「市場からは次はどのように小さくするのかと期待される。小型化を追求するのは使命のようなもの」と大森統括部長。ウエアラブル端末向けで本命とされる0201品でも攻勢をかけていく構えだ。
0201は大きさが縦0・25ミリ×横0・125ミリメートルと超小型のMLCC。太陽誘電の子会社でEMS事業を展開する赤城電子(群馬県高崎市)が0201の基板実装を担い生産設備や試験装置などを設ける。すでに0201を正確に基板に配置する技術は完成しており、今後はハンダ印刷や回路設計技術を実証して基板実装技術を確立。0201を使ったEMS事業を開始する。17年3月期に同事業の売上高を現状比1・5倍にする。
MLCCはスマホの中核部品で、近年は1台当たりに搭載される部品点数が増えていることを背景に小型化が進む。現状「0603」(縦0・6ミリ×横0・3ミリメートル)が主流だが、これより一回り小さい0402(縦0・4ミリ×横0・2ミリメートル)を搭載する機種が出始めている。0201は0402よりも実装面積ベースで半分以上小さい次世代品だ。
0201を巡っては業界で太陽誘電と村田製作所が昨年秋までにそれぞれ月3000万個で量産できる体制を整えた。太陽誘電はEMS事業により、スマホだけでなく、ウエアラブル端末などを手がけるメーカーからの受注獲得を狙う。先端品の0201を使うことでデザインや機能面で製品を差別化できる点や、設備投資などの費用負担を軽減できる点を訴求する。
太陽誘電は売上高の約5割をMLCCが占める。スマホ向けを中心とした需要拡大に合わせて約100億円を投じて新潟県に新工場を建設する計画を掲げている。
【用語】積層セラミックコンデンサー(MLCC)=一時的に電気を蓄える機能を持つ電子部品。高機能スマートフォンでは1台当たり600個―700個搭載されている。日系では世界シェア首位の村田製作所のほか、太陽誘電、TDKが、海外では韓国サムスン電子傘下のサムスン電機(セムコ)が手がける。
(日刊工業新聞2015年05月15日1面)
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積層セラミックコンデンサー(MLCC)業界で村田製作所の強さが際立っている。業界で先頭を切って市場投入した最小サイズの0201品(0.25ミリ×0.125ミリメートル)の商品搭載も年内には始まる。2015年3月期は初の売上高1兆円超えを見込むが、スマートフォン向け小型大容量品は好調そのもの。追加投資にも踏み切っており、ライバルの引き離しに掛かっている。
「MLCCの小型大容量品は年間15%の増産となる」。1月末に15年3月期の設備投資100億円上積みを公表した際、藤田能孝副社長はこう説明した。主だったスマホメーカーへ食い込む同社では、各社の15年モデルで開発段階から採用される“デザインイン”も済まし、「売上高はさらに10―15%は伸ばせる」(藤田副社長)状況だ。
高機能スマホでは1台当たり500―700個のMLCCが必要だ。現在は0603品(0・6ミリ×0・3ミリメートル)が主流だが、一回り小さい0402品(0・4ミリ×0・2ミリメートル)がパワーアンプやカメラモジュールなど実装スペースが限られるところから普及。最近では「メーンのところにも入り始めてきた」(大森長門第1コンデンサ事業部技術開発統括部統括部長)。
MLCCで同社シェアは35%だが、0402品など最先端品ではさらに上回り、業界を圧倒的にリード。この数年で業界2位に躍り出た韓国サムスン電子傘下のサムスン電機(セムコ)も、「0402の主戦場ではあまりぶつからない」(同)という。
さらに、次の世代となるのが0201品だ。実際に普及期に入るのはまだ先だが、同社は実装機メーカーやハンダメーカーとも協業し、既存のMLCCと同水準の実装性を確立。ユーザーの採用にもめどが立ち、「すでに量産手前の評価段階にある」(同)。0201品では太陽誘電もほぼ同時期に量産体制を整えているが、「静電容量や信頼性、歩留まりなどでリードできる」と大森統括部長は自信を示す。
村田製作所のMLCCは、90年代に小型ホームビデオなどの要求に応えて1005品(1・0ミリ×0・5ミリメートル)でリード。その後も0603品、0402品と常に先陣を切ってきた。そのためか「市場からは次はどのように小さくするのかと期待される。小型化を追求するのは使命のようなもの」と大森統括部長。ウエアラブル端末向けで本命とされる0201品でも攻勢をかけていく構えだ。
日刊工業新聞2015年04月06日 電機・電子部品・情報・通信面