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【日本の空に挑む#3】ガルーダ、米国便復活で事業環境が大きく変化

日本・韓国・アメリカ地区総代表 フィクダネル・タウフィック氏に聞く
【日本の空に挑む#3】ガルーダ、米国便復活で事業環境が大きく変化

タウフィック氏とビジネスクラス

 ―2015年1月に中部―ジャカルタ線の就航が延期となり、成田線や羽田線も減便するなど、日本路線は縮小しています。今後の日本路線の計画は。
 「日本とインドネシアの結びつきは強固で、交流も多い。15年は訪日外国人の拡大で、インドネシアから日本への渡航者が前年比で29・2%増となった。日本路線の利用率は80%を超えており、好調だ。今後の就航地としては、中部だけでなく、福岡などあらゆるところが対象となる。ただ、旅客需要や経済環境などから、採算性を考慮する必要があり、現状、具体的な増便などの計画はない」

 ―ガルーダの強みと、日本での競争に勝つための戦略をどう練りますか。
 「競争相手はやはり全日本空輸(ANA)、日本航空(JAL)となる。ただ、両社はジャカルタ線のみで、デンパサール(バリ島)線は就航していない。日本の利用者は航空会社に求めるサービスの水準が高いが、競争は“ビタミン”でもある。羽田―ジャカルタ線は最新型のビジネスクラス席を導入した機材で運航しているほか、日本人の客室乗務員を搭乗させるなど、サービス品質の向上に努めている」

 ―安全面では、9月に米連邦航空局がインドネシアの安全評価を9年ぶりに「カテゴリー1」に格上げし、米国への乗り入れが可能になりました。
 「インドネシアから米国への旅客需要は高いものの、多くが日本経由で他社便を利用しているのが現状だ。米連邦航空局の安全評価が上がり、米が新たな運航ルートの一つになったが、実際に乗り入れるには、機材や空港の設備など、解決しなければならない課題がいくつかある」

 ―インドネシアでは空港のインフラ整備が進んでいます。
 「ジャカルタのスカルノ・ハッタ空港では8月から新たに第3ターミナルが稼働し、国内線を移した。いずれ、国際線も第3ターミナルに移す予定だが、時期は未定で、運用開始は先になりそうだ」
日刊工業新聞2016年10月5日
高屋優理
高屋優理 Takaya Yuri 編集局第二産業部 記者
ガルーダ・インドネシア航空はインドネシア経済の減速などにより、ここ1―2年、日本路線を縮小する傾向にありましたが、9年ぶりに米国への路線開設が可能となったことで、事業環境が大きく変化しています。米国への乗り入れについて、成田経由でロサンゼルス線やニューヨーク線の新設を示唆するなど、次の展開が見えつつあります。

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