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「業務提携は想定内。資本提携に発展するかに注目している」(スズキ系部品メーカー)

「競争と協調。そういう時代になったということだ」(ヤマハ発動機社長)
「業務提携は想定内。資本提携に発展するかに注目している」(スズキ系部品メーカー)

豊田章男トヨタ社長(左)と鈴木修スズキ会長

 トヨタ自動車スズキの提携は以前から噂が出ていただけに、サプライヤーなど関係者の驚きは小さいようだ。「業務提携は想定内。今後、資本提携に発展するかどうかに注目している」(スズキ系部品メーカー)。トヨタを主要取引先にする部品メーカー幹部は「(提携内容にもよるが)標準品の供給が増える可能性がある。軽自動車部門も盤石になる」と歓迎する。

 先週、ライバルのホンダとの原付バイク事業での提携を発表したヤマハ発動機の柳弘之社長は、トヨタとスズキの提携に関しても「競争と協調。そういう時代になったということだと思う」とコメントした。ヤマハ発も4輪車開発を進めており、「互いに得意な技術を出し合い、(トヨタも含む)他社と協力することもあり得る」と話した。

「トヨタがインドでスズキを活用するというのは失礼」


【会見要旨】

 ―提携の具体的な内容は。資本関係に発展する可能性は。
豊田社長 何も決まっていない。資本提携も含めてこれからだ。産業の発展にとって何ができるかはこれから考える。

鈴木会長 今日は提携の交渉を始めるという発表だ。あらかじめ決めたことはない。スズキもあらゆる分野で開発をしている。そういう意味であらゆる分野と理解してほしい。

 ―スズキはインドが強い。トヨタとしてどう見ているか。
豊田社長 スズキが開拓した市場で、鈴木会長は産業の発展をけん引した第一人者だ。トヨタも東南アジアを開拓し、自動車産業が国を背負っているという思いは共感する。トヨタがインドでスズキを活用するというのは失礼だ。開拓精神は学びたい。

 ―これでスズキの経営の道筋にめどをつけたといえますか。
鈴木会長 企業経営者はこれで一段落と考える人はいないのでは。経営者は挑戦しないといけない。

 ―スズキのどこに魅力に感じていますか。
豊田社長 業界で大きな変化が起きている。変化に対応できる力を磨くことが重要だ。その点、スズキはたけている。先進的な移動社会をどうつくるかで社会的な同意を含めて周囲を巻き込む力が今後重要になる。巻き込む力は鈴木会長から学ぶところが大きい。


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日刊工業新聞2016年10月13日「深層断面」から抜粋
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
自動車担当していた10年前、スズキは日産との提携を拡大。国内の生産台数や軽の販売力から「自動車業界は4強時代(トヨタ、日産、ホンダ、スズキ)に入った」という記事を書いた。そして鈴木修会長の“オサム語録"をたくさん紹介もした。「昨日の常識は今日の非常識」と修会長。あれから10年、今や日産は三菱自を傘下に入れ、マツダや富士重が存在感を発揮している。トヨタとの提携を考える時、「昨日の非常識は今日の常識」とも言えまいか。

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