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これ売れるかも。ドラム缶が打楽器に

日鉄住金ドラムが新技術センター完成で披露
 日鉄住金ドラム(東京都江東区、小原知実社長)は3日、新技術センター(相模原市緑区)の竣工(しゅんこう)式を開いた。新技術センターは「現場力・技術力・営業力をより強化したい」(小原社長)との目的で、相模原工場内の旧技術センターを拡張。塩乾湿複合サイクル試験機など最新鋭の試験設備を導入した。当日はドラム缶から作られる打楽器「スチールパン」のバンドによる演奏が行われ、約60人の出席者は独特の音色に拍手を送った。

日刊工業新聞2016年10月4日



国内縮小も新機能のニーズ高まる


 ドラム缶メーカー大手が研究開発を強化している。年々、国内市場が縮小する半面、顧客からの品質要求や新機能へのニーズが高まっていることなどに対応するのが狙い。JFEコンテイナーは2016年度の研究開発費を前年度比3割増やし、ICタグ付きドラム缶など新機能商品の開発に力を注ぐ。日鉄住金ドラム(東京都江東区)は開発拠点を新設、拡充し、顧客連携を一層深める構えだ。

 JFEコンテイナーは「当社は価値のプロバイダー。労務費を除くネットの研究開発費を3割増やし、新機能商品の開発、市場投入を図っていく」(小野定男社長)方針。中でも“コンセプトドラム缶”と呼ぶ提案型商品の開発は「顧客と、ドラム缶でそんなことができるなら、こんなドラム缶はできないかという会話を増やしたい」(同)という狙いから、シーズ先行型で進めた。

 一つは天板や胴体にICタグを貼り付け、無線で物流の動きを管理する「ICタグドラム」。運搬中などにICが剥がれづらい最適な場所に装着用のくぼみを設けた。

 さらに胴体表面に細かい凸凹模様を付け、強度向上と識別しやすさを両立させた「レリーフドラム」、内容液をポンプで取り出す際に残液を10分の1以下に減らせる「残さ極小ドラム」も試作した。顧客の要望を反映させる意見交換を行っており、早期の商品化を目指す。

 親会社で原板の供給元でもあるJFEスチールとの連携も「まだまだ足りない。最大限活用して開発を促進する」(小野社長)構え。さらに水素ステーション用の蓄圧容器も「オープンイノベーションで他社と共同で開発中。18年には実機を投入する」(同)と意気込む。

 一方、日鉄住金ドラムは約4億円をかけ、相模原工場(相模原市緑区)の事務所棟を兼ねた技術センターを新設。その狙いの一つとして「需要家に見て頂いて、需要家の悩みを共同で解決できる研究の場にする」(縄田康隆取締役専務執行役員)ことを強調。ショールームや会議室などの交流スペースを多めに割いた。

 というのも、ドラム缶は「内面にどんな塗料を塗るのか、口金の形はどうするのか、顧客ごとにものすごく細分化されており、4000種類くらいのスペックがある」(渡来信介取締役専務執行役員)という背景があるためだ。

 かつて海外の大手が低価格を武器に日本市場へ参入した際も、「3割安にもかかわらず、1本も売れなかった。不良品が出たら交換するという世界共通の対応が、日本の顧客に受け入れられなかった」(同)というように、日本は世界でも極めて品質に強くこだわる市場だ。

 しかも、主要顧客先の化学業界ではファインケミカル化が進んでおり、その容器であるドラム缶も「そこまでしないといけないのか、という要求も受け入れる」(同)と年々、ハードルは上がる一方。化学業界の急速な技術進歩に一歩も遅れられないというプレッシャーもある。
(文=大橋修)

日刊工業新聞2016年6月9日

明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
将来、ドラマーを目指いる子どもたち(そうでなくても)のために、多くの中学校や高校にこれをぜひ寄贈して下さい。

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